浦島太郎は玉手箱を開けて鶴になったのか?

三浦教授によると、元来のあらすじは、浦島が竜宮城から故郷へ帰ってくると、700年の歳月が過ぎたことを知ってしまい、途方に暮れる。そんな浦島の手には、持ち帰ってきた玉手箱があった。実は、これには浦島の魂が封じ込められており、浦島は老いない体になっていたのだ。そこには、乙姫の「浦島に再び会いたい」との思いが込められていたのだという。

そのことを知らない浦島は玉手箱を開けてしまい、鶴に生まれ変わって永遠の命を与えられた。鶴になった浦島は、亀に姿を変えた乙姫と再会し、長く愛しあったそうだ。

「浦島太郎」にカットされた真の結末 永遠の命もつ鶴に生まれ変わる - ライブドアニュース


ところが『御伽草子』には

さて浦島は鶴になりて、虚空に飛びのぼりける折、此の浦島が年を龜が計らひとして、筥の中にたゝみ入れにけり、さてこそ七百年の齡を保ちけれ。明けて見るなとありしを明けにけるこそ由なけれ。

浦島太郎(校註日本文學大系)
とある。「浦島太郎が鶴になって虚空に飛び登ったときに、浦島の年を亀が箱の中に入れた。それで700年生きてこられた」と読めるのではないか?少なくとも浦島が鶴となったのは玉手箱を開けたときではないと普通に読めば解釈できるのではないか?


もちろんそんな話はその前に全く出てこない。出てこないけれどそう読めてしまうではないか。


なにこれ???


検索すると

さて浦島は、その後、身は鶴と変じて大空へと飛び立った。
そもそもこの浦島の齢を、亀が計らって箱の中にしまっておいたものである。
それゆえ、七百年の高齢を保った。
あけてはならぬと言われたものを、開けてしまったとは是非もない。

浦島太郎の直訳をお願いします!!後半の、「さて、浦島は故郷へ〜虎伏す野... - Yahoo!知恵袋
とあり、他でも「そもそも」という語句を入れて類似の訳をしている。


しかし、ここはもっと論争になってなければならないところではなかろうか?もしかしたら論争になってるのかもしれないけど…


と、ここまで書いたところで、この部分の文字を「折」と読むか「抑」と読むかの違いではないか?と気づいた。


多分これで間違いない。ネットのタイプミスの可能性も考えて近代デジタルライブラリーで調べたらやはりここは「折」になっている。
近代デジタルライブラリー - 日本文学大系 : 校註. 第19巻(コマ番号358)


ここが「抑」になっているものは見つけられなかったが、「そもそも」とひらがなで書いているものなら何件かある。


現在は「抑」説が有力だということだろうか?


そうだとして、それはいつからなのだろうか?それ以前に「折」と読んでいた時代も浦島太郎は玉手箱を開けて鶴になったと解釈されていたのだろうか?


謎。


(追記 17:12)岩波文庫御伽草子』に「そも/\」とあった。底本は「渋川版」。ところが『校註日本文學大系』の方の底本も「渋川版」。一方はひらがなで、一方は漢字だから「渋川版」にもいろいろあるということだろうか?


依然として謎。だけれども「そもそも」説の方が有力っぽいので、そっちを採用してネクストステージへ。


あと『校註日本文學大系』の解説を見たら浦島太郎が鶴になったとは書いてなかった。「折」を採用すればやはりそうなるんだろう。

驚いて、箱を開いて見ると、紫の雲が立ち上つて、浦島は急に老人になつた。後、浦島は浦島の明神となり、亀もまた同じ處に神となつて、夫婦の明神と現はれた。