本 郷和人(その2)

(その1)

大河ドラマ時代考証を担当し一躍時の人となっているけれど、俺はどうしてもこの人がなぜこれほど持ち上げられているのかわからない。その能力は史料編纂の方面では発揮できていてそれで評価されたのかもしれないけれど、その能力だけでは不十分な分野に足を突っ込んでいるような気がする。


もちろん俺は氏の発言に適切な批判をする能力を持たないド素人で、さらに平安末期から鎌倉初期のことなどは特に不得意なんだけれど、それでも色々突っ込みたくなる。


平清盛は“TPP賛成派”?+(1/3ページ) - MSN産経ニュース

吾妻鏡』元暦元年11月21日に記載されている源頼朝筑後権守俊兼(藤原俊兼)の華美を批判したという記事について論じている。


吾妻鏡』の記事がネット上にある。

常胤・實平が如きは、清濁を分らざるの武士なり。所領と謂うは、また俊兼に双ぶべからず。而るに各々衣服已下麁品を用い、美麗を好まず。故にその家富有の聞こえ有り。数輩の郎従を扶持せしめ、勲功を励まんと欲す。汝産財の所費を知らず、太だ過分なりと。

吾妻鏡元暦元年11月

頼朝は華美を批判しているけれど、それは金を使うなということではなくて、金の使い道が間違っているということですよね。「数輩の郎従を扶持せしめ」とあるんだからこれは立派な雇用創出であり、「勲功を励まんと欲す」とあるのはつまり、消費ではなく「投資」(経済学でいう投資とは違うかもしれないが)に使っているということですよね。

 その正反対が、同じ頃に出現した上皇天皇が譲位して上皇になる)による院政上皇は湯水のように金銭を使った。贅沢きわまりない。頼朝は怒るでしょうけれど、おかげで日本の経済が活性化されたことも事実です。今でいえば、公共事業の功罪、という問題になるでしょうか。

郎従を扶持することに使うのと、贅沢に使うのとではどちらが経済が活性化するのか本郷先生にとっては説明するまでもないことなのだろうが俺にはわからない。また「おかげで日本の経済が活性化されたことも事実です」とあるからにはそれに関する研究成果が存在すると思われるが、それがどういうものなのかもわからない。


また「頼朝は怒るでしょうけれど」とあるけれど俊兼に対する批判は頼朝に仕える者がなすべきとこについてであって、上皇の贅沢に頼朝が怒るという結論は導き出せないように思うが、どういう理由があって「頼朝は怒るでしょうけれど」といっているのかもわからない。