2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

斎藤利三の謎(その10)斎藤利賢について

『寛政譜』系の系図は、「斉藤氏の系図」といっても斎藤利三の娘の春日局と彼女の縁で幕臣となった兄弟の系図というべきものだろう。 『寛政譜』では利三の父の「某」と祖父の「某」までが記され、祖父某の父は「利晴」という者で「利行」より七代目で、「利…

斎藤利三の謎(その9)斎藤利賢について

『美濃国諸家系譜』と『美濃明細記』において斎藤利三の父は「利賢」とされている。この利賢が『寛政譜』等にある「某 伊豆守」と同一人物なのかという点において、個人的には大いに疑問に思うわけだが、その点はひとまず置いておく。 その利賢が『美濃国諸…

茂木健一郎氏と山本一郎氏の対談を読んで

⇒茂木健一郎先生と小保方問題その他で対談したんですが、話が噛み合いませんでした(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース個人的には両人とも俺はあまり評価してなくて興味の対象外なんで普段はろくに記事も読んでないんだけれど、この記事は最初の部分を見て…

恐怖の記憶は遺伝するのか?

上の記事に書いた ⇒恐怖の記憶、精子で子孫に「継承」 米研究チーム発表:朝日新聞デジタル だけど、その後どうなったのだろうかと調べていたら ⇒後天的な「恐怖体験」が、実は子孫に遺伝していくことが判明 - GIGAZINE という7/29日付の記事があった。今ま…

STAP論文騒動のよくわからないこと(その20)

⇒「再現実験」は国民の期待を鎮める儀式(榎木英介) - 個人 - Yahoo!ニュース 画期的な論文が掲載されて世界中で追試が行われたものの誰一人再現できなかった。次第に科学者の期待は薄まっていく。そしてやがて消え去る。科学の世界ではよくあること(それだ…

斎藤利三の謎(その8)利三の祖父について(2)

ここで諸系図の成立について書いておく。 ・利三父「某」グループ 『寛永諸家系図伝』 徳川幕府第三代将軍家光の命により、幕府は寛永18年(1641年)から、若年寄・太田資宗(総裁)、儒者・林羅山(編纂主任)に諸大名・旗本以上の幕臣の諸系譜の編纂事業を…

斎藤利三の謎(その7)利三の祖父について(1)

本能寺の変と信長の四国政策を考えるに当たっては斎藤利三とは何者かといことを考察する必要がある。そのためには利三の父や祖父が何者なのも考察しなければならない。 『美濃国諸家系譜』『美濃明細記』では利三の父を「利賢」とする。『寛政譜』等では「某…

斎藤利三の謎(その6)利三の父について(2)

斎藤利三の父について考えるだけでも相当手間がかかる… 利三の父が「伊豆守」だというのは諸系譜でほぼ一致している。ただし『土佐物語』によると長宗我部元親の妻の父は「斎藤豊後守政吉」で祖父は「稲葉伊代守」。斎藤豊後守政吉の妻が稲葉伊代守の娘とい…

斎藤利三の謎(その5)利三の父について

今まで確認した史料は『寛永諸家系図伝』『寛政重修諸家譜』『柳営婦女伝系』『美濃国諸家系譜』『美濃明細記』。 『美濃明細記』以外は斎藤利三の父を「伊豆守」とする。『美濃明細記』には記載なし。 名前は『寛永諸家系図伝』『寛政重修諸家譜』『柳営婦…

雨のバカヤロー

斎藤利三についての情報収集のために図書館へ。いろいろコピーしてきたんだが帰宅して確認してみたら雨がカバンの中にまで侵入しててぐしゃぐしゃに…

明智光秀の生年(さらに追記)

ふと気付いたんだが、 『明智軍記』を元にすれば光秀の生年は享禄元年(1528年)。 『当代記』を元にすれば永正13年(1516年)。 その差12年で一回り違うということになる。別の言い方をすればどちらも「子年」。 ということは、光秀は子年生まれという伝承…

明智光秀の生年(追記)

昨日の記事を書くためにネットで検索して初めて知ったのだが、明智光秀享年67歳説は「最近」注目されているらしい。 まあ「最近」とか「最新」という言葉は歴史研究においては実にいい加減なもので、30年以上前の歴史知識といえば中学の教科書とテレビと新聞…

斎藤利三の謎(その4)利三の父について

『寛永諸家系図伝』『寛政重修諸家譜』『柳営婦女伝系』には斎藤利三の父は「某」と記されており「伊豆守」を名乗ったとする。『寛政重修諸家譜』には 伊豆守 今の呈譜にはじめ伊豆守のち豊後守利忠(としただ)に作る とあり「法名宗曉」とも記されている。…

斎藤利三の謎(その3)

斎藤利三の年齢について。『寛政重修諸家譜』によれば天正10年(1582年)に没す。享年49歳。逆算すれば天文3年(1534年)生まれ。織田信長と生没年が同じ。 明智光秀の生年は不明。『明智軍記』に載る光秀の辞世に「五十五年の夢」とあるので、そこから逆算…

明智光秀の生年

話は横にそれるが明智光秀の生年について。 既に書いたけれど光秀の享年が55歳だというのは『明智軍記』に書かれていることで、この史料は信用性が乏しいとされている。『明智軍記』は元禄年間(1688-1704)に書かれたとされている。確かな根拠(たとえば辞…

伊東某氏について

⇒伊東 against 小保方/STAP(リスト) - Living, Loving, Thinking sumita-mさんは左翼の中では珍しくまともな人だと思っていて、俺は自称保守だから意見が異なることは多々あるけれども一目置いていた。で、一時期ダイアリーの更新が中断されたときに残念…

斎藤利三の謎(その2)

⇒斉藤利三の謎 国立国会図書館サーチで「斎藤利三」と入力して検索したんだけれど、ヒットしたのは 四国問題と斎藤利三の動向 ([歴史読本]2011年7月号特集 徹底検証 本能寺の変 ; 世紀の反逆 明智光秀の思想と行動) 桐野 作人 掲載誌 歴史読本 56(7) (通号 8…

「同心」の意味(3)

さらに引き続いて「東州奉属平均之砌、 御馬・貴所以御帰陣同心候」について。 「同心候」が「同心します」なのか「同心しました」なのかで意見が割れている。甲州征伐を終えて織田信長が安土城に帰陣したのは4月21日。一方、長宗我部元親書状の日付は5月21…

「同心」の意味(2)

引き続き「東州奉属平均之砌、 御馬・貴所以御帰陣同心候」について。 元親は元々「敵」ではないから「同心」とは「敵から味方になる」というような意味ではない。ただし「味方する」は必ずしも「敵から味方になる」という意味とは限らない。それについては…

「同心」の意味

「東州奉属平均之砌、 御馬・貴所以御帰陣同心候」の意味について考えてみる。 「同心」の意味は「デジタル大辞泉」によれば 1 目的・志などを同じくすること。一つ心になること。「それが我々―の道かと思われます」〈滝井・無限抱擁〉 2 ともに事にあたる…

日本がテーマになってる洋楽ミュージックビデオ(2014/8)

Oliver Heldens - Koala (Official Music Video) Porter Robinson - Flicker (Official Video)

我々は大いなる勘違いをしているのかもしれないとふと思ったこと(その2)

長宗我部元親書状にはもう1つ高村さんが指摘している問題がある。 追記が2文もあるのに、本文の行間に食い込んでいないのは原文では不自然で写しである可能性が高いように見える。 「追記」とは「尚々」で始まる部分と、「追而令啓候」で始まる部分のこと。…

我々は大いなる勘違いをしているのかもしれないとふと思ったこと

「歴史街道9月号」を買った。歴史街道 2014年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2014/08/06メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見るまず読まなければならないのは桐野作人氏の「新発見!石谷家文書二点の大意」だ。 最初に天正十年正…

天野忠幸氏の論文「三好政権と東瀬戸内」を見た

俺にとっては衝撃的な論文だった。一次史料による考察だからこっちの方が正しいかもしれない。しかも色々な点で辻褄が合っているようにも思う。しかしあまりにも『南海通記』が書くところと異なっている。また桐野作人氏の『だれが信長を殺したのか』とも異…

南海通記(3)

阿州重芿合戰記 天正六年夏。土佐元親大兵ヲ發シ、阿波ノ大西ニ來リ重芿ノ城ヲ陥テ下郡ヘ出ントス。 (略) 土佐州進テ重芿ノ城ヲ抜キ、元親ノ本陣トシ、是ヨリ岩倉表ニ發向セントス。岩倉ノ城ハ美馬三好二郡ノ旗本ニシテ、河内國高屋城主三好山城入道笑岩カ…

南海通記(2)

阿波讃岐兵將屬三好存保記 天正六年正月十河存保阿波國ニ歸リ、三好家ヲ繼テ讃州ノ諸將ニ書ヲ贈テ曰。今茲我信長ノ命ヲ受テ阿波ノ守護職ト成リ下向ス。讃州阿州ハ同胞ノ國也。往年ノ遺恨ヲ捨テヽ倶ニ力ヲ合セ、國ヲ保ツヘキ也。是更ニ私ノコトニ非ズ。數代相…

南海通記(1)

「近代デジタルライブラリー」 信長公被加制詞土州元親記天正六年ノ夏。三好山城入道笑岩ヨリ、信長ニ訴ヘケルヤウハ、土州長宗我部己カ威ヲ恣ニシテ公儀ヲ懼レズ、阿波國ニ攻入リ、南方二郡ヲ押領シ、笑岩カ本領美馬三好二郡ヲ掠ム。己モ信長公ノ幕下ナレハ…

:元親記

『群書類従』より 信長卿と元親被申通事 付 御朱印の面御違却之事信長卿御上洛以前より被通し也。御奏者は明智殿也。又明智殿御内斎藤内蔵助は。元親卿為には小舅也。明智殿御取合を以。元親卿の嫡子弥三郎実名の御契約を致す。此時元親よりの使者に。賀見因…

長元物語

『群書類従』より関係ありそうなところを抜粋。 一。元親公土佐一ヶ國御存分ニ成ヤ否。泉州堺ノ商人商賣ニ下ル。宍喰屋ト云者ヲ御呼有テ被仰ハ。汝尾州ヘ下リ。織田信長ト云大名ヘ。此状ヲ指上ル才覺仕ニヲイテハ。滿足ナラメト仰ラレシカハ。宍喰屋畏テ尾州…

去年の今頃

⇒ああ江川紹子 - 国家鮟鱇 という記事を書いた。 PC遠隔操作事件に関して俺は容疑者は限りなくクロに近いと思っていたけれど、この時点で決め付けることはできなかった。もし容疑者があのようなヘマをしなければ無罪になる可能性も十分あったと思う。 江川…