斎藤利三の謎(その6)利三の父について(2)

斎藤利三の父について考えるだけでも相当手間がかかる…


利三の父が「伊豆守」だというのは諸系譜でほぼ一致している。ただし『土佐物語』によると長宗我部元親の妻の父は「斎藤豊後守政吉」で祖父は「稲葉伊代守」。斎藤豊後守政吉の妻が稲葉伊代守の娘ということであろう。


稲葉氏で伊予守といえば稲葉一鉄がいるけれど、元親夫人が輿入れしたのが永禄6年(1563年)だとすれば、一鉄は永正12年(1515年)生まれとされているので49歳で孫が輿入れしたことになる。元親夫人が幼子だったとしたらありえなくはないと思ったけれど、信親を永禄8年(1565年)に産んでいる。稲葉氏は伊予河野氏の一族とされ伊予守を名乗った人物は他にもいるので別人だろう。(そもそも事実でないとすれば話は簡単だが)。なお斎藤利三の妻は稲葉一鉄の娘と言われているから「母」の姉妹と結婚したことになる(ただしこれにも問題があるけれど話が長くなるのでここでは略)。元親夫人の父が伊予守なら利三の父も伊予守ということになるかもしれないが、父の違う兄と弟というのも説明不可能な話ではない。また伊予守と伊豆守が同一人物の可能性もある。可能性のあるものはなるべく切り捨てないでとっておきたい。


さて、利三の父が「伊豆守」というのはほぼ一致するところだが、名を「某」とするものと「利賢」とするものの2つに分けられることは既に書いた。


「某」と「利賢」が炉同一人物という可能性はもちろんあるけれども、別人ではないかという印象が俺にはある。それについてはまた後ほど書くとして、別人だとしたらどちらも「伊豆守」なのはどうしたことか?ということにはなる。可能性としては「某」も伊豆守で「利賢」も伊豆守であり、故に二人は同一人物であるという考えから、利三の父は「利賢」だということになった
可能性と、「某」は伊豆守であり、「某」とは「利賢」のことだという考えから「利賢」を伊豆守とした可能性があるのではないかと思われる。


すると、可能性としては「利三の実父は某」だとすると、
1、利三の実父は「某 伊豆守」であり、「利賢」と同一人物
2、利三の実父は「某 伊豆守」であり、「利賢」は赤の他人の伊豆守
3、利三の実父は「某 伊豆守」であり、「利賢」は赤の他人で伊豆守ですらない
4、利三の実父は「某 伊豆守」であり、「利賢」は義理の父の伊豆守
5、利三の実父は「某 伊豆守」であり、「利賢」は義理の父だが伊豆守ではない
6、利三の実父は「某」で伊豆守ではなく、「利賢」は赤の他人の伊豆守
7、利三の実父は「某」で伊豆守ではなく、「利賢」は義理の父の伊豆守


「利三の実父は利賢」だとすると、
8、利三の実父は「利賢 伊豆守」であり、「某」は赤の他人の伊豆守
9、利三の実父は「利賢 伊豆守」であり、「某」は赤の他人で伊豆守ですらない
10、利三の実父は「利賢 伊豆守」であり、「某」は義理の父の伊豆守
11、利三の実父は「利賢 伊豆守」であり、「某」は義理の父だが伊豆守ではない
12、利三の実父は「利賢」で伊豆守ではなく、「某」は赤の他人の伊豆守
13、利三の実父は「利賢」で伊豆守ではなく、「某」は義理の父の伊豆守


という可能性が考えられる。さらに可能性を広げることもできなくはないけれど、今はやめとく。