2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その16)

『建内記』の話の核心は「八幡神に聞く」というところにあるのではなかろうか? なぜ、足利義持の八幡宮で後継者を決めるクジをしたかといえば、八幡神が源氏の氏神だからだということは疑いない。幕府としては当然のことだろう。 しかし、公家社会には、別…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その15)

⇒2012-10-27の続きこれまでのまとめ。(1)クジ引きは八百長ではない。(2)「くじを三回引いたら三回とも義円と出た」という話は学者のいうような話ではなく「義円は凶」という話。ここまでは自信がある。 これからする話は大した根拠があるわけでもない推…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その14)

「くじを三回引いたら三回とも義円と出た」という情報は、状況から考えて「町の噂」のようなものではないだろう。一方幕府からのものだとも考えにくい。とすれば、万里小路時房の属する公家社会で生じた可能性が高いのではないかと思われる。 ところで俺の考…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その13)

⇒2012-10-26の続き「くじを三回引いたら三回とも義円と出た」という情報を万里小路時房に伝えたのは誰か?可能性としては、 1、武家伝奏の勧修寺経興が幕府からの情報をそのまま伝えた 2、武家伝奏の勧修寺経興が創作した 3、武家伝奏からの情報のように見え…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その11)

⇒2012-10-25の続き 以上の理由により、八百長など万に一つもありえない。それどころか、この話は八百長陰謀論者の考えているような話ですらない。 義円(足利義教)は「凶」であり、管領は望んでいなかったが、八幡神が頑なに義円を選ぶので受け入れざるをえ…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その12)

『建内記』の誤った情報について「デマ」と書いたが、「デマ」とは 《「デマゴギー」の略》 1 政治的な目的で、意図的に流す扇動的かつ虚偽の情報。 2 事実に反するうわさ。流言飛語。「人を中傷する―を飛ばす」 ⇒デマの意味 - 国語辞書 - goo辞書本来の意…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その10)

歴史学者の方々はどうか知らないが、クジを複数回引くと聞いて俺が思い浮かべるのは、漫画やアニメでおなじみのあのシーンだ。 初詣や夏祭りにグループで行った際におみくじを引く。 A「俺は小吉だった。B子ちゃんは?」 B子「私は大吉」 A「B子ちゃん…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その9)

⇒2012-10-24の続き 『建内記』で三番目にクジを引いた名無しさんは、上流社会において伝えられ、また記録される意義があるとは考えられなかった格下の人物であり、おそらくは管領畠山満家の従者であろう。 だが、なぜ足利義持の後継者を決めるクジを引くとい…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その8)

神前御棚の上に於て畠山入道これを執る。両度これを執る。青蓮院なり。次で他人をしてこれを執らしむるの処、また青蓮院なり。三ヶ度同前と云々。(建内記 正月一八日条) 三回目のクジを引いた「他人」という名無しさん何者なのか? 万里小路時房は「他人」…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その7)

⇒2012-10-23の続き 神前御棚の上に於て畠山入道これを執る。両度これを執る。青蓮院なり。次で他人をしてこれを執らしむるの処、また青蓮院なり。三ヶ度同前と云々。(正月一八日条)『籤引き将軍足利義教』(今谷明 講談社 2003) 『建内記』で三回目にクジ…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その6)

神前御棚の上に於て畠山入道これを執る。両度これを執る。青蓮院なり。次で他人をしてこれを執らしむるの処、また青蓮院なり。三ヶ度同前と云々。(正月一八日条)『籤引き将軍足利義教』(今谷明 講談社 2003) この『建内記』の記事は事実ではない。という…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その5)

⇒2012-10-22の続き 昨日の記事を書き終えてから気付いたのだが、クジを三回引くことは実際にあったそうだ。 『新続古今和歌集』(しんしょくこきんわかしゅう)は、室町時代の勅撰集。二十一代集の最後にあたる。室町幕府第6代将軍足利義教の執奏により、後…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その4)

本郷氏の主張が「珍妙な考え方」だということについては、既に十分すぎるほど説明したと思うが、さらに根本的な問題があるので続ける。 それは「なぜクジを三回引いたのか?」という問題である。 俺はこの時代に正直詳しくなく、足利義教がクジで選ばれたと…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その3)

⇒2012-10-21の続き 本郷氏の本には「同記にはくじを三回引いたら三回とも義円と出た」とだけ書いてあるけれど、より詳しく書けば『建内記』には 神前御棚の上に於て畠山入道これを執る。両度これを執る。青蓮院なり。次で他人をしてこれを執らしむるの処、ま…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?(その2)

一口に「本当のことを書かない」と言っても少なくとも二種類ある。一つは「事実でないことを事実であるかのように書く」ということ。もう一つは「正しい理解に必要な情報を隠蔽すること」である。 証券投資で「絶対に値上がりします」と言って勧誘する断定的…

将軍足利義教は八百長で決まったのか?

⇒2012-10-19の続き 結論からいえば八百長ではない。少なくとも本郷和人氏の八百長説は到底受け入れることができない。本郷氏流に言えば、これぞまさに「珍妙な考え方」というものである。 『人物を読む 日本中世史 頼朝から信長へ』(講談社 2006)のこの主…

満済は嘘つきか?

『人物を読む 日本中世史―頼朝から信長へ』(講談社 2006)より。 すると、ある研究者は『建内記』より『満済准后日記』を用いるべきだと説き、ある研究者は『満済准后日記』にくじで義円に決まったと書いてあるのに従わないなら、もはや実証史学ではなくな…

これはひどい

足利義教が義持の後継者になった経緯について。 ⇒足利義教 - Wikipedia 脚注に、 くじ引きで三宝院満済らが事前に仕組んだ不正であるとする説田中義成『足利時代史』、佐々木銀弥『室町幕府』、本郷和人『人物を読む 日本中世史 頼朝から信長へ』(講談社選…

尻はす

宇喜多直家の死因は「尻はす」という腫瘍であったという。 以降美作・備前各地を転戦して毛利氏と合戦を繰り返すが、天正9年(1581年)の末頃に岡山城で病死。死因は「尻はす」という出血を伴う悪性の腫瘍であったという[4]。 その死はしばらく隠されたとい…

復興予算の使途は見直されるべき

そりゃ騙された方が悪いという論法は正しいでしょう。 賛成したのに批判するのはおかしいと。 ごもっともです。 でも、やっぱり今の使途には全く納得いかないわけですよ。 どっちが正しいかなんてことよりも、こっちの方が重要なんですよ。 だから自民はこれ…

東日本大震災復興基本法第二条

⇒東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(PDF) 政府原案を見ると 第二条 被災地域の復興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。 とあるのが 第二条 東日本大震災からの復興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。…

東日本大震災復興基本法

⇒雑感 - 今日の雑談 経由 ⇒復興予算「流用」騒動の顛末 - what_a_dudeの日記 もちろん「法律の精神がまちがっているのだ」、という主張は成り立つが、まかり間違ってもその法律の成立に賛成した側からなされるべき批判ではないだろう。 いやあ、これはどうな…

Youtubeの再生回数

⇒一部に悲報?Youtubeの検索結果、再生回数ではなく視聴時間を重視へ | ガジェット速報 最近Youtubeにはまってっるのでこれは大いに関心有。 で、かの国のことは置いといて、気になるのはこのバンド。Wikipediaにも載ってない無名バンドみたいなのだが再生数…

ヨーロッパの「名字」の謎

⇒中国・韓国はなぜ1文字? 世界の「名字の謎」 :日本経済新聞 「名字」の謎は奥が深い。 ●〜ビッチ(〜vic)という名字をよく目にするのがセルビア、モンテネグロなどの旧ユーゴスラビア。ユーゴスラビア連邦大統領として独裁体制を敷いたミロシェビッチ、…

「ニセ科学」はなぜ批判されなければならないのか

⇒PseuDoctorの科学とニセ科学、それと趣味: P02-06: 「科学的に間違っている」はニセ科学批判の中で最も簡単な部分です ニセ科学とは「科学ではないのに科学を装っているもの」です。 ですので「ニセ科学を批判するには、それが科学ではない事を示せば良いの…

[疑問}逮捕

上のような事件で良くなされる主張について常々気になっていること。 ⇒逮捕 - Wikipedia 逮捕状の請求権者は、検察官又は司法警察員[1]である(刑訴法199条2項)。逮捕状の請求があったときは、裁判官が逮捕の理由(「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる…

ネットの殺人予告が第三者の遠隔操作の可能性

⇒時事ドットコム:大阪市に殺人予告、第三者の疑い=ウイルス感染で脅迫文言−演出家、無実か ⇒はてなブックマーク - 時事ドットコム:大阪市に殺人予告、第三者の疑い=ウイルス感染で脅迫文言−演出家、無実か 大阪市のインターネットのホームページ(HP)…

中国人や韓国人の名字にはなぜ1文字が多いのか?と「伝統」「慣習」

⇒中国・韓国はなぜ1文字? 世界の「名字の謎」 :日本経済新聞 という記事が人気になっている。 ⇒はてなブックマーク - 中国・韓国はなぜ1文字? 世界の「名字の謎」 :日本経済新聞 ⇒はてなブックマーク - 中国・韓国はなぜ1文字? 世界の「名字の謎」 …

習近平と毛沢東

「ここは普通の大学とはまったく違う場所だ。君たち党の幹部たち、特に年若い幹部たちは、ぜひとも党の根本的な理論をしっかり学んでほしい。党の原点である理想的信念の踏襲こそが、君たち幹部にとって重要なのだ」 少し抽象的な表現だが、要は「党の根本的…

平家にあらずんば人にあらず(その2)

それの元ネタは、中国の「史記」です。 前漢王朝の初代皇帝である高祖・劉邦が 天下統一の功臣の多くを粛清して、 その封土に劉氏一族を送り込みました。 結果、劉氏しか王になれなかったため、 「劉氏にあらずんば人にあらず」 と、その劉氏の誰かが放言し…