東日本大震災復興基本法第二条

東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(PDF)


政府原案を見ると

第二条 被災地域の復興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。

とあるのが

第二条  東日本大震災からの復興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。

と「被災地域の」だったものが「東日本大震災からの」修正されている。


で、原案の

イ 何人も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりを進めるための施策

イ 地震その他の天災地変による災害の防止の効果が高く、何人も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりを進めるための施策

に修正されているわけだが、これは範囲を限定する方向での修正。


問題は「被災地域の」が「東日本大震災からの」に変更されたことによる影響。


原案では被災地域に限定されたものだったのが、修正されて全国どこでも該当することになってしまったのだろうか?だが原案にも「何人も」とあり被災地域と限定して書かれていない。


文脈的に見れば原案の第二条は「被災地域の復興のため」には被災地域だけではなく、広範囲な対策が必要だと読み取れるものであり、

四 少子高齢化及び人口の減少への対応等の我が国が直面する課題や、エネルギーの利用の制約、環境への負荷等の人類共通の課題の解決に資するための先導的な施策への取組が行われれるべきこと。

などは、直接的に被災地域の復興に資するものではないが取り上げられている。


同様に解釈すれば

イ 何人も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりを進めるための施策

も被災地域に限定したものではないように読めなくもないけれど、上と違うのは、上は直接的には復興に資するものではないが大局的には資するものであるのに対し、これを他の地域に適用した場合、被災地域の復興に資するというのはかなり無理があるということ。


したがって普通に読めば被災地域に限定したものだと読むべきだろう。


だが、なぜここに「被災地域」という文言を入れなかったのだろう?

ロ 被災地域における雇用機会の創出と持続可能で活力ある社会経済の再生を図るための施策

には「被災地域」とちゃんと書いてあるのに。


原案段階でも何らかの思惑があったのではないかと疑ってしまう。