2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

オモテを読まずにウラを読む(その3)

ウラを読みすぎてオモテが見えなくなっている例をもう一つ。 織田信長の岐阜命名について。信長は美濃を制圧した後、それまで「井の口」と呼ばれていた地域を岐阜と改称した。これは周王朝の故事にあやかったものであるというのが通説で多くの本に書かれてい…

オモテを読まずにウラを読む(その2)

⇒オモテを読まずにウラを読むの続き。 さて、俺がこのことに重大な関心を持っているのは、俺の趣味である日本史にもそういうケースがあると考えているから。 たとえば「豊臣秀吉落胤説」。秀吉が天皇の落胤だと秀吉自身が宣伝していたというのは、多数の著名…

オモテを読まずにウラを読む

多くの陰謀論者の特質として「オモテを読まずにウラを読む」というものがあると思う。 オモテには権力者に都合のいいことが書いてあって素直に信じるのは愚か者であり、そのウラにある「真実」を読み取らなければならないと。それは確かに一理あるけれど、そ…

「厩戸」=「うまやべ」説

この前「厩戸」を「うまやべ」と読む可能性について書いたけれど、石井公成教授の最新記事によると、井上薫「聖徳太子『異名』論--なぜさまざまな名をもつのか」(『歴史読本』1996年12月号)に「うまやべ」説が書かれているそうだ。 ⇒厩戸は「うまやと」で…

新聞の「科学記事」批判

そういえば、新聞の科学記事はひどいという話で、具体的にどこがひどいのか書いてない場合が多いんだけれど、稀に書いてあることがあって、それが何かというと永久機関について肯定的なことが書いてあったみたいなことだったりする。 しかし、そういうのは大…

ワクワクしたらいけないのか?

自称研究家が相対性理論を覆す発見をしたとかいう話なら、それが事実である可能性は0.00000…と限りなくゼロに近い。世の中に絶対はないから、慎重な言い方をすれば「絶対にありえない」ではなくて「間違ってる可能性が高い」という言い方になるだろうけれど…

山本弘氏の方が誤解しているのはほぼ確定

⇒山本弘のSF秘密基地BLOG:「光より速いニュートリノ」をめぐる誤解 ⇒はてなブックマーク - 山本弘のSF秘密基地BLOG:「光より速いニュートリノ」をめぐる誤解 既に書いたことだが、(共同通信が元ネタだろうと考えられる)産経・日経の記事に村山斉・数物連携…

モンスタークレーマー

昨日も書いたけれど、本当ゲロ吐きそうなくらい気持ち悪い。超光速ニュートリノの報道に文句言ってるのって何なの? 新聞はちゃんと「本当なら」って書いてるじゃん。研究グループがなぜこれを発表したのかも書いてるじゃん。検証の必要性や小柴氏の観測との…

読み手の問題

超光速ニュートリノの話で山本弘氏の指摘の真否は置いといて(おそらく間違っていて報道が正しいだろうと思ってるけど)、それとは別にマスコミ報道の仕方が悪いとかいう話も結構あるんだけどさ、 新聞報道をネットで見てるだけなんだけれど、指摘されている…

認めるために疑う

超光速ニュートリノの話で「多くの学者が疑っている」みたいなことが書かれていて、「なんだ間違いの可能性が高いのか」みたいな受け止め方をしている人をちらほら見かける。 そりゃ在野の自称研究者が相対性理論を覆す発見をしたとかいうなら、そんなわけな…

理系音痴の俺が光よりも速いニュートリノの記事について考えてみる

(本当はタイトルを「文系の俺が」と書こうと思ったんだが天の声が「じゃあ当然外国語の記事との比較もやるんだろうな」とツッコミを入れてきたので「理系音痴」にした) ⇒山本弘のSF秘密基地BLOG:「光より速いニュートリノ」をめぐる誤解 が人気エントリー…

少数の支持者しかいない政治的意見は過激?

⇒多数派であることのリスクについて (内田樹の研究室) 私たちは「圧倒的多数が支持する政治的意見」は穏健で、「少数の支持者しかいない政治的意見」は過激であると考えがちだが、 そんな話は初耳だ。いや絶対に初耳だという自信はないが、少なくとも記憶と…

公務員と士農工商

これは前にも書いたことがあるんだけれど、江戸時代に庶民が政治に口出しすることは禁止されていた、と言われる。 しかし考えてみると江戸時代の一揆は何なんだって疑問がある。お上は一揆を一方的に弾圧したと思ってる人もいるかもしれないけれど、実際はそ…

公務員の地位について

⇒多数派であることのリスクについて (内田樹の研究室) ⇒はてなブックマーク - 多数派であることのリスクについて (内田樹の研究室) 橋下大阪府知事は、持論である大阪都構想に賛成の市職員を抜擢し、反対する市職員を降格するためのリスト作りを維新の会所属…

【本郷和人の日本史ナナメ読み】(11)国盗りマムシの辞世の歌

さらにもう一つ。 ⇒【本郷和人の日本史ナナメ読み】(11)国盗りマムシの辞世の歌+(1/3ページ) - MSN産経ニュース 捨ててだに この世のほかはなきものを いづくかつひの住み家なりけん 明日の戦いで自分は死ぬだろう、と覚悟した道三は、子供たちに遺言…

【本郷和人の日本史ナナメ読み】(10)「忠臣」にもいろいろある

で、図書館に行ってまた本郷和人の本を借りてくるのも面倒なので、現在MSN産経ニュースに公開されている【本郷和人の日本史ナナメ読み】について少し書いてみる。 ⇒【本郷和人の日本史ナナメ読み】(10)「忠臣」にもいろいろある+(1/3ページ) - MSN産…

本郷和人

最近歴史学者の本郷和人の名前を良く目にする。ブログを巡回していても歴史関係の記事で取り上げられているのを何度も見た。 ⇒本郷和人 - Wikipedia 話題になっているので前に一度だけ図書館で本を借りたことがある。しかし、ほとんど頭の中に入ってこなくて…

武内宿禰と蘇我馬子

⇒厩戸皇子と馬屋古女王と馬子(その3)の続き 妄想はさらに続く。 蘇我氏の祖は武内宿禰である。 第13代成務天皇と同年同日の生まれという。 第12代景行天皇の時に北陸・東国を視察して、蝦夷の征討を進言した。成務天皇3年に大臣となる。神功皇后の朝鮮出兵…

厩戸皇子と馬屋古女王と馬子(その3)

⇒厩戸皇子と馬屋古女王と馬子(その2) の続き これまでは、「厩戸(うまやと・うまやど)」は「うまやこ」とも読めるのではないかという考えで書いてきたんだけれども、一方「厩戸」は「うまやべ」とも読めるのではないかということも書いた。 ⇒厩戸皇子と…

厩戸皇子と馬屋古女王と馬子(その2)

⇒厩戸皇子と馬屋古女王と馬子 について、Zarathustra1951-1967さんがブックマークのコメントで、「固有名詞で音読みと訓読みを混用するのは無理があるのでは」という指摘をしている。 それは確かにその通りだと思う。思うけれど、それを考えると、そもそも「…

厩戸皇子と馬屋古女王と馬子

厩戸(うまやど・うまやと)という名前と馬屋古(うまやこ)という名前には何らかの関係があるのは間違いない。俺の素人考えでは「戸」は「こ」とも読めるので、厩戸は「うまやこ」とも読むことが可能だろうと思う。というのが前回の要点。⇒厩戸皇子と馬屋古…

厩戸皇子と馬屋古女王

⇒斑鳩の南は片岡と古代の牧場: 廣岡孝信「推古朝の『片岡』・馬見丘陵と王権の基盤」 - 聖徳太子研究の最前線 そこで、肝心な「厩戸」の由来の問題です。王族の名は、養育に関わった氏族の名からとられることことが多いことを考えると、厩戸皇子の娘には、…

左派バカと右派バカ

⇒左派バカと右派バカ@タレブ: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳) 池田信夫氏は、自分の言葉で語るとトンデモになりがちですが、人の言葉を引用するときにはなかなかの目利きになります。http://twitter.com/#!/ikedanob/status/115331053056565248>「左派…

「中村」の「仲」(その2)

⇒(その1) 秀吉の母大政所の名前「仲」は「中村」から付けられた可能性があると思う。しかし単純にそう考えた場合には大きな問題が発生する。 たとえば「あずまんが大王」という漫画のキャラクターに、大阪から都内の高校に転校してきて「大阪」と呼ばれて…

「中村」の「仲」(その1)

⇒秀吉の母の「なか」という名前 について少しだけ詳しく。 豊臣秀吉の母は名前を「仲(なか)」という。 大政所(おおまんどころ、永正10年(1513年) - 天正20年7月22日(1592年8月29日))は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。本名を仲(なか)と…

人間は経済学の奴隷ではない

⇒総理がQBハウスは許されず: 大石英司の代替空港 一方、1時間掛かるものが10分で済めば、そら嬉しい話だけど、デフレからどうやって脱却しようかという旗振りをしなきゃならない為政者が、安くて早いからという理由で、こんなものに飛びついちゃ駄目で…

なぜ「王」なのか?

それにしてもなぜ天皇に関わることに「王」の字を使うのか?可能性をあれこれ考えてみたけれど、どうもよくわからない。検索も少ししてみたけれど無理っぽいのであきらめた。 俺がそうなのではないかと少し思うのは仏教と関係するのではないかということ。「…

王家

来年の大河ドラマ「平清盛」の公式サイトに「王家」と記してあることで騒ぎが起こっているそうだ。 ⇒大河ドラマの問題点は「王家表記」ではなく「平氏表記」だ|C.I.L(Charismatic Itabashi Lover) ウヨっぽい人がこれを批判するのは「王」が「皇」よりも…

元始、女性は実に太陽であった

⇒平塚らいてう(2)ー元始、女性は太陽であったか。: 保立道久の研究雑記 らいてうの起草による『青鞜』発刊の辞は見事なものである。これはらいてうが文筆の人であったことをよく示している。しかし、私は、「元始、女性は実に太陽であった。今、女性は月であ…