山本弘氏の方が誤解しているのはほぼ確定

山本弘のSF秘密基地BLOG:「光より速いニュートリノ」をめぐる誤解
はてなブックマーク - 山本弘のSF秘密基地BLOG:「光より速いニュートリノ」をめぐる誤解


既に書いたことだが、(共同通信が元ネタだろうと考えられる)産経・日経の記事に村山斉・数物連携宇宙研究機構長が「本当ならタイムマシンも可能になる」との発言が載せられていることに対し、山本弘氏が「タキオンでタイムマシンはできません! 」と批判しているのだが、アサヒコムのロイター記事には英マンチェスター大のジェフ・フォーショウ教授の「観測結果が確認されれば、過去への時間旅行が理論上可能ということになると指摘した」という発言が載せられている。


この時点で山本氏の批判は怪しい。両教授の発言を正確に記事にしたのだとしたら、有名な学者が揃って間違うとはおよそ考えられないので批判の方が間違っていると断言してもいいだろう。ただし、もちろん両者とも記者が発言を誤って理解したという可能性も少しはあるので断定することは難しい。


その後、これについてのフォロー記事が出てくるかと期待したのだが一向に出てくる気配がない。はてなブックマークで人気記事になっているのが一件あるけれど失礼ながら信用性に乏しい。


というわけで仕方がないから自力で探した。


で、見つけたのが疑似科学批判の世界でも有名な松田卓也氏のページ。
タキオンを用いたタイムマシン

 さてタキオンがあるとしても、それが通常の粒子となんらかの相互作用をしなければ、そんなものはあってもないのと同じである。そこでタキオンは通常の粒子と相互作用はすると仮定しよう。さてタキオンを発生させて、それに情報を載せて火星に向けて送り、火星でそれをキャッチしたとする。ここで簡単のためにタキオンの速度は無限大であるとする。するとこちらで発した信号は火星で瞬時に受け取ることができる。しかし、これだけではタイムマシンでもなんでもない。信号を過去に送るには、火星ではなく高速で飛んでいるロケットに向けて発信する必要がある。ロケットでは信号を受け取り、それをわれわれに向かって再び送信する。するとその信号を、われわれは過去に受け取ることができる場合があるのである。

要するに「タイムマシン」は可能ってことですよね。


これはもう確定的じゃないですかね?


※ ただし、タキオンが「通常の粒子と相互作用」するのが条件。ウィキペディアにも、

また、たとえタキオンが実在したとしても、仮に通常物質とは一切干渉しないとしたら、観測すること、通信することは不可能なのではないかとも考えられる。

(タキオン通信)超光速通信 - Wikipedia
と書いてありますね。


※ なお、俺は「通常の粒子と相互作用する」というのがどういうことなのか正直理解していないし、ニュートリノが「通常の粒子と相互作用する」のかしないのか今のところわからないのか、物理に詳しい人なら常識であろうと思われることも知らないので、超光速ニュートリノが事実だとしたらタイムマシンが(理論上)可能になるのか、可能になる可能性があるということなのかはわからない(観測できているんだから相互作用しているんじゃないかと思うけれど自信なし)。


※ また小柴昌俊氏の研究の成果との整合性を考慮すればニュートリノは超光速にもなるし光速以下にもなるとも考えられるので、超光速ニュートリノが事実であったとしても、ニュートリノタキオンではないのかもしれない(ってこのあたりは全く自信はないけれど)。


というかネット社会なんだから、詳しい人が素人にもわかるレベルでネットで解説して欲しいですよね。ネットに情報は溢れているけれど必要な情報は意外とないんですよね。