中国人や韓国人の名字にはなぜ1文字が多いのか?と「伝統」「慣習」

中国・韓国はなぜ1文字? 世界の「名字の謎」  :日本経済新聞
という記事が人気になっている。
はてなブックマーク - 中国・韓国はなぜ1文字? 世界の「名字の謎」  :日本経済新聞
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 全体として1文字の名字が圧倒的に多い(司馬、欧陽など2文字の名字もまれには存在する)。森岡さんによると、中国人の名字は少数民族も含めて4000程度とされ、10万から30万はあるとされる日本人の名字に比べるとかなり少ない。

 「中国の漢民族は世界でも最も早く名字ができた民族といわれるが、伝統的に漢字1字の単姓を基本としており、日本のように自分で地名などから名字を名乗ったり、分家した際に名字を変えたりすることがなかった。だから、名字の種類も増えなかったのではないか」と推測する。

さて「推測」したのは誰かといえば、括弧書きしていることから考えて、推測したのは「森岡さん」であること疑いない。記事の冒頭にも

中国人や韓国人の名字にはなぜ1文字が多いのか?

 前回に引き続き、名字研究家の森岡浩さんらの協力を得て、「名字の謎」について紹介する。今回はロシア、東欧、中南米、アジアなどを含めた海外編。

と書いてあるし。要するに「中国人や韓国人の名字にはなぜ1文字が多いのか?」という記者の疑問に答えているのは森岡浩氏であって、記者はそれを記事にしたにすぎない。ちなみに、森岡氏はこちらでは、

「中国の姓は、慣習で原則漢字1文字と決まっているそうです。

種類の多さは世界トップクラス!?“名字大国”日本のルーツとは? | web R25
と答えている。




ところで、ここで森岡氏は「伝統」「慣習」という言葉を使っている。「伝統」「慣習」とは何だろうか?


でんとう【伝統】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

ある民族・社会・集団の中で、思想・風俗・習慣・様式・技術・しきたりなど、規範的なものとして古くから受け継がれてきた事柄。また、それらを受け伝えること。

かんしゅう【慣習】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

ある社会で古くから受け継がれてきている生活上のならわし。

どちらも「古くから」とある。しかし「古くから」が具体的にどれくらいの期間を指すのかは決まっていない。したがって、過去に現在と異なることがあっても、現在と同じようになってから相当の期間が経過していれば、それは「伝統」であり「慣習」である。すなわち今から千年二千年前に例外があったからといっても、現在まで相当長く続いているものは伝統・慣習と呼んで差し支えのないものでしょう。


というわけで、
『世本』にみえる2字の氏 - 枕流亭ブログ
森岡氏はいつから伝統・慣習になったか発言していないので、その点が気になるけれど、2000年以上も前のことを持ち出して「正確さを欠いている」とするのはどんなものだろうと思うのであります。


(このあたり、しばしば世間で「伝統を守る」ということと「復古」が混同されているケースがあったりするから個人的に気になるのであった)