伊東某氏について

伊東 against 小保方/STAP(リスト) - Living, Loving, Thinking
sumita-mさんは左翼の中では珍しくまともな人だと思っていて、俺は自称保守だから意見が異なることは多々あるけれども一目置いていた。で、一時期ダイアリーの更新が中断されたときに残念に思い、復活したときには心底喜んだのだが、復活後の調子が何かヘンな感じなのだ。まあそれは俺がそう感じるだけであって他の人にはそうは見えてないのかもしれないけど。で、何が変な感じなのかといえば、ありきたりの人になっちゃったなあって感じるのであって、だからおかしな人になったというわけではなく、ごく普通にネットでよく見かけるタイプの左翼になっちゃったなあって感じ。いや正確にはそういうタイプの人の中では依然として輝いているようにはみえるけれど、個人的には関心が薄れてきた。まあそんなことをあえて書くのも余計なお世話ではあるし、俺もそういうことを書くのは趣味ではないんだけれど、俺も関心のあるSTAP論文騒動についてしばしば言及されており、それが俺には受け入れられるものではないから何も書かないでいるとストレスがたまってしまうのである。


さて伊東某氏についてであるが俺は二度ほど言及したことがある。
歯ブラシの起源
聖徳太子怨霊説を「真相」と言ってしまう人
どちらも俺は伊東氏の主張に疑問を持っている。ただからといって間違いだと断言できるほどの自信はない。梅原氏の聖徳太子怨霊説は間違いだと断言しても良いだろうが、伊東氏が独自に「調べた」のならそれとは違うことを言っているのかもしれない。伊東氏が史料を読み込んでそういう結論に至ったのだとしたら、たとえそれが間違いであっても主張すること自体を批判することはできない。だけど本当に史料を読み込んでいるのかが疑わしい。「調べた」といっても、ネットの信用性の怪しい記事を見たとか、そこらの信用性の怪しい本を見てそれを信じたというだけの話かもしれない。


それが通説として広く受け入れられているというのならそれでも構わないかもしれない。しかし伊東氏の主張するところはどうも通説ではないように思われる。もちろん独自研究で通説と異なっていようが主張することは構わない。俺もしているし。だけど通説と異なることを主張するなら根拠が必要になる。その根拠らしきことが書かれていないわけでもないけれど極めて不十分なものであるように思われる。


そういう場合、同意することができないのはもちろんのこと批判するのも難しい。なぜなら批判しようにも根拠が不十分にしか書かれていないからそこを突っ込むことができない。もしかしたら書いてはいないけれどもちゃんとした根拠を持っている可能性もある。


で、そういうものに対する態度としては無視するのが一番ということになる。普通はそうだ。


ただ、伊東氏の場合はそれだけでは済まない点がある。というのも、根拠があるのか無いのかよくわからない主張をするだけではなく、その主張を根拠としてさらに何かを糾弾しているからだ。「歯ブラシ」の件では「欧米」が、「聖徳太子怨霊説」の件では「死刑制度」が糾弾の矛先となっている。


その糾弾が正当性を持つのは、その前の主張に妥当性がある場合である。しかしその主張は疑わしいものであり、少なくとも通説となっているようにはみえない異端の説である。異端の説を主張してはいけないというわけではないけれど、それを正しいとしてさらに何かを糾弾するというのは「暴走」であろう。



で、STAP論文騒動について。俺はこの前こういう記事を書いた。
去年の今頃
STAP細胞が意図的に捏造された可能性は状況的に考えて十分ある。しかし現時点では確定的なことはまだ言えない。これは100%確実だとはいえないというレベルの話ではない。裁判でいえば最高裁の判決がまだ出ていないというような段階ではなくて、起訴するのもまだ難しいという段階であろう。しかるに確定的なことを主張する、あるいはそう匂わせる人達がある時期から(6月頃だっただろうか)急に増えてきた(ネット界の無責任な有象無象のその手の主張はいつものことだが当初からあったがそういうのとは違うレベルのが)。もちろん「意図的に捏造された可能性が高い」という程度ならちゃんとした根拠と論理があれば主張することは全然構わないが、そういうレベルを超えた主張が目に付きだした。それらの主張はインパクトがあるから目立つけれども、決して広く受け入れられているわけではない。「意図的に捏造された可能性が高い」ということ自体はそれほど異端なものではないから、「可能性が高い」と「確定」の見た目の差は小さい。しかしそこには超えてはいけない壁があるはずだ。さらに、それだけではなく、それを根拠として小保方氏や笹井氏や理研やさらに安倍首相や自民党までもが糾弾されるようになった。これは全く「暴走」としかいいようがない。



で、何が言いたいかというと伊東某氏は、前々からそういうことをする人だったし、今もそうであるということ。まあ聖徳太子怨霊説よりはSTAP陰謀論の方が当たる確立が遙かに高い(とはいえインサイダー取引云々はどうかと思うが)ことは間違いないけれど、そんなことは本質的には問題ではないのである。