少子高齢化問題を100人の村に例えてみる

まずは少子高齢化の何が問題なのかを「100人の村」で考えてみる。

  • 前提

生きていくのに必要な食糧は老若関係なく一年間に米1石。余剰の米は酒に加工する(ちなみに数値は超適当)。


①現在

    
若者80人・老人20人の村。米の総生産量は120石。一人当たり米1石を分配して、残り20石は酒に加工してこれも平等に分配する。若者一人当たりの米生産量は120÷80で1.5石。若者4人で1人の老人を支えている。


②未来

若者60人・老人40人の村。現在と同じ消費生活をするのなら、必要な米の生産量は120石。若者一人当たりの米生産量は120÷60で2石。若者1.5人で1人の老人を支えている。


生産量が労働時間に正比例しているとすれば、未来の若者の労働時間は、約1.3倍になる。1日当たり8時間労働なら10.6時間。10時間労働なら13.3時間。12時間労働なら16時間しなければならなくなる計算。若者はこの過酷な状況に耐えられるか?さあどうする?


若者の負担を増やさないためにはどうすれば良いか。

  • 解決策その1

若者は現在と同じく1人当たり1.5石だけを生産する。労働時間も消費も変えなければ自分に必要な1.2石を除いた残り0.3石が老人の取り分。0.3×60で18石だけ。平等に分配すれば1人当たり0.45石で老人全員餓死。老人間で話し合いか殺し合いでもすれば18人だけなら生き残り可能。酒も飲みたい場合は15人だけ生き残る。

  • 解決策その2

老人も働く。老人全員が生存するのに必要な米は40石。若者から18石供給されると残り22石が必要。一人当たり0.55石を老人が生産する。酒も飲みたい場合は0.75石の生産が必要。若者の半分の労働だが、寝たきり老人もいるので、その分は別の老人が働く必要がある。20人の寝たきり老人がいれば、残り20人は若者と同じだけ働く必要がある。


こうすれば若者の負担は増えない。ただし、老人にとっては負担増。そこで、

  • 解決策その3

生産性を上げる。農地の大規模化を推進する、品種改良するなどして労働量を増やさないようにする。

  • 解決策その4

若者の数を増やす。いきなり増えるわけがないので、移民を受け入れる。現在と同じにするには、老人40人に対して若者160人が必要。60人はすでにいるので、残り100人を移民で賄う。


しかし、果たしてそう都合よくいくのか?現実的な解決策としては、老人は酒を我慢する。働ける老人は働く。生産性を上げる。移民を受け入れる、そしてさらに、若者の負担を増やすということを組み合わせることになるだろう。だが、どれもこれも、簡単にできることではないだろう。いざやるとなれば問題山積みであろう。


ところで、年金の問題で、公的年金に頼らず自助努力で貯蓄するって話があるけど、確かにそうすればその人は生き残るだろうけど、それはその人が「解決策その1」で生き残ることのできる18人の中の1人になることができるという話で、残り22人は餓死するってことですよね。あるいは老人が全員資産家になって田を所有して、地代として若者から米を搾取すれば、餓死するのは若者であり、そうなるとさらに生産が減るから、最終的には村人全滅しますよね。というわけで、何が一番肝心なのかといえば、100人の村で1人の餓死者も出さないためには、何はともあれ最低100石の米を生産することですよね。


もちろんこれはあまりにも単純化しすぎている。村人は米だけを作っているわけでも、消費しているわけでもないし、生産力も所得も貯蓄も個人差があるし、貿易もしているから。だけど基本的にはこういうことですよね。


とりあえずここまで。ド素人が考えることだから、おかしな点があったらドシドシ指摘してくださいませ。