単一民族(4)

ほぼ単一民族だけどアイヌがいる的な発言の最初はこれかな。
第075回国会 文教委員会 第12号 昭和五十年六月五日(木曜日)
小巻敏雄委員(共産)の発言。

 一つ私、この「民俗文化財」の問題についてお伺いをしたいのでありますが、民俗文化財の中で、特に参考人として衆議院に出席をされた北海道の教育長さんからも、アイヌ糸住民の民俗資料ですね、これらの問題について触れられておるところがありましたけれども、まあ日本の国の中でただ一つ民族の組成を異にしておるアイヌ糸住民に対して国がどれだけのことをすることができるのかというのは、現代世界の中では、国の品位が問われる問題でもあるでしょうし、間違いもなく日本――まあおおよそ単一民族によって構成しておるけれども、このアイヌ系住民は日本国民を構成する一つの要素であるわけですね。これに対して果たしてこの「民俗」というフォーカルなものとしてとらえるようなあり方でいいのかということを私は強く感じるわけであります。これについて、明治以来の行政の手というのははなはだ冷たいものであり、

(中略)

これがテープにされておけばよいというのは、この日本の国民の一構成要素であるアイヌ系住民を完全に併呑し、同化してしまって博物館の中にだけ置こうという考えになるわけですね。この点について、ひとつ積極的な御答弁をいただきたい。たとえば無形文化財とか、無形の民俗文化財として指定するというような方向を考えることはできないのか。また、北海道の保護対策調査等に対して財政的措置をとるというような考えは持たれないのか、ひとつお伺いします。

まだまだ調べたいけれど、きりがないので今日はおしまい。

単一民族(2)

島国根性という謎の言葉
という記事を書いた時に参考にした、加藤秀俊氏の参議院での発言に単一民族に関するものがあったのを思い出した。

第107回国会 国民生活に関する調査会 第2号

 及川先生の今の御質問でございますけれども、第一、第二を取りまぜて申しますと、民族というものをどう定義するかということでございますが、学問的に申しますと、同一の言語を使って、言語というのは非常に大事な文化要素でございますが、同一の言語を使い、同一の生活様式を分かち合っている集団であって、多くの場合、多少一つ二つの例外はございますけれども、一定の地理的なテリトリーを持っている、そこに永住しているということでございます。
 したがって、先ほど申しましたコーカソイド、白色人種でございます、の中のゲルマン民族ですね、これは一般に、本当はもっと正確に言うとゲルマン民族のサブにあるんですけれども、ゲルマン民族を仮にドイツ人というふうに呼びましょう。それからアングロサクソン、これが大体同じ人種でありながらまた一つの民族を形成しております。それから、ケルト民族というのも、これはケルト語というのは英語なんかと違いますので、そういうことでございます。つまり、言語とそれから生活様式を長期にわたって分かち合ってきた集団、そしておおむね大小の差こそあれテリトリーを持っているということでございます。全くこのテリトリーを持たないのが例えばユダヤ人といったようなもので、これがユダヤ民族問題を起こしていることは申し上げるまでもございません。
 日本の場合でございますけれども、文化人類学の方ではアシミレーション、つまり同化という言葉を使いまして、たとえ民族のオリジンが外国人であっても、一つの文化の中でだんだん揺さぶられているうちに、二代、三代かかって言語、生活様式などが身についてまいりますと、その民族に同化されたということになるわけでございますから、したがって日本民族単一民族であるというのは、今申し上げた意味から申しますと条件を満たしているのではないか。ただし、ベトナム難民とかそれから中国残留孤児とか、そうした人たちがまた日本国内に居住され始めますと、そこには異なった民族集団というものが混在するということになるかと存じます。

日本は(ほぼ)単一民族だという意見。

単一民族(3)

ついでに国会で「単一民族」について言及されたのはどれくらいあるのだろうかと思って、
国会会議録検索システム
で検索したら、222件ヒットしました。


面白そうなんで読みたいんだけど時間がない。でも戦後最初の「単一民族」発言が強烈だったので引用しておく。


第007回国会 考査特別委員会 第16号
本日の会議に付した事件
 日本共産党の在外同胞引揚妨害問題
 証人出頭要求に関する件

 ちよつとその前にお話しますが、私がこのマルクス主義に興味を持つたのは、十五、六のときからであります。そうしてわれわれは入ソする前から、このマルクスの広範な理論に対して非常に興味を持ち、また青年としてのいろいろなあこがれを持つておりました。そうして入ソして日本を救わんとして、その道をマルクス主義ロシア共産党によつたわけであります。われわれが日本に上陸いたしまして、なぜ転向しなければならなかつたかという問題につきまして、私は日本に上陸して、いかに日本の祖国が美しいものであつたか。またわれわれに対して示した、日本人たちの人間としての、われわれにほんとうに御苦労であつたという気持に対して、自分たちが学ばされた理論から行きますれば、結局世界を統一した一つの民族、一つの言葉、一つの文化によつて結ぶところの、単一民族を形成するのが、われわれ共産党の終局的の目的である。そういう意味におきましては、結局この日本の国、日本の民族というものをつぶさなければならない。しかしわれわれはこの美しい日本をつぶさなければならないかと思うとき――こういうことはほんとうに外国におつた者こそが初めて日本の美しさ、いかに自分が祖国を愛しておつたかということがはつきり言えると思うのです。そうして自分は日本に上陸すると同時に、日本共産党のとつておる態度がいかに大衆に愛されていないか。どうして大衆に愛されていないかという問題を考えたときに、自分ははつきりと、自分の考えをかえなければいかぬと思つたのであります。それから約一年、この事実について客観的に研究したのであります。これが現在このような行動をとるに至つたのであります。

日本が単一民族だという意味の発言は、昭和33年02月24日衆議院予算委員会公聴会が最初。昭和30年代が3件、40年代が20件、50年代が50件、60年代が49件、平成一桁が47件、10年代が52件(ただし日本についてのことであるとは限らない)