民主党の愚策

「3点セット」で政府・与党を追及=野党が連携を確認(時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060125-00000068-jij-pol
ライブドア事件、米国産牛肉の危険部位混入、耐震強度偽装事件」の「3点セット」で「与党の責任を徹底追及」ですか、そうですか。
あいかわらずしょうもないな。馬鹿じゃねえの。
と言いたいところだが…


俺は去年の選挙では自民に投票したけど、別に自民の支持者じゃありません。自民の熱狂的な支持者なら、民主党が自滅していくのは喜ばしいことかもしれないけど、無党派である俺としては、健全なる野党が育ってほしいと切に願うものであります。
俺は以前は自民党を嫌悪していました。かつての第一野党だった社会党はそれ以上に嫌悪していましたけど。
バブル発生と、その崩壊での無策ぶりはひどいものでした。さらにバラマキ政策で財政が危機的状況に陥ることも、既得権益の保護で日本の競争力が低下することも、昔から予想されていたことなのに、なす術を持たず先送りを続けていたのも自民党(及び無能野党の社会党)の責任です。竹下登以降の総理大臣はろくなものではありませんでした(もちろんその中でも評価の上下はありますけど)。このままでは日本は滅亡してしまうと俺は本気で考えていました。そういう状況の中、一方、社会党も衰退し「55年体制」は終りを迎え、政界再編が現実味を帯びてきました。野党は離合集散を繰り返し、現在民主党が第一野党として、政権交代を狙える位置にあります。
ただし、民主党は、政権担当能力に不安があります。ありますけど、政権交代によって、更なる政界再編が起きるであろうことが予想され、日本は変わるのではなかろうかという期待がありました。


これが小泉政権が誕生するまでの俺の考えでした。正直2001年の総裁選の時に小泉氏がこれほどやるとは思っていませんでした。確かに人気はあったけれど、口だけなんじゃなかろうかと思ってました。かといって橋本龍太郎氏に大胆な改革ができると期待できるはずもなく、要するに勝手にしろと思ってました(その後組閣等によって俺の予想が外れたことにすぐに気づきましたけど)。


しかし、今年で小泉氏の任期は満了します。その後もしばらくは小泉政治を踏襲するでしょうけど、いつまでも続くかといえば、それは不確実です。それに小泉人気の反動はあるでしょう。ですから民主党には十分チャンスがあるはずです。民主党は小泉以後に狙いを定めるべきなのです。なぜわざわざ人気の高い小泉氏を狙い撃ちして、自滅するようなことをするのでしょう?


本来なら、そうした戦略は2004年に岡田克也氏が代表になったときにするべきことでした。前任者の菅直人氏は悪口が得意な人で、何かといえば悪口ばっかりで、最終的にそれが命取りになりました。そして実際、岡田氏は就任当初は協調路線を取るようなことも言っていました。そのままそうしていれば良かったと思います。そうしたとしても去年の選挙で政権を取ることは無理だったでしょうが、小泉後に政権を取るチャンスは今よりも随分高かったと思います。しかし現実はそうなりませんでした。岡田氏本人がどう考えていたのかは知る由もありませんが、結果的に「郵政民営化」に反対するなどで、「抵抗勢力」として位置付けられ、先の衆院選では大敗したのでした。


そして、前原誠司代表も就任当初は協力できるところは協力するという協調路線を表明していました。しかし今国会では「3点セット」なるもので、自民党を攻撃するという愚策を取っています。まあ、前原氏が本心からそんなことを望んでいるのかはわかりません。おそらく党内の事情によるものなんじゃないかと思いますけど、それを抑えることのできない責任は前原氏にあります。マスコミは同様に小泉自民党の責任を追及しているから、この戦略を取ることは超短期的には有利かもしれませんけど、小利を得んとして大利を失ってますね。


今、民主党がするべきことは小手先の戦略ではなく、まずは「烏合の集」である党内をまとめることであり、自民党とわざわざ対決することではなく、協力できるところは協力することによって、国民の信頼を得ることです。当り前のことですが、民主党が政権を取るためには、小泉政権に投票した有権者の支持を得なくてはなりません。その有権者が支持した人間に無理な批判をすることは、有権者を批判していることになります。それで政権が取れると思っているということは、「間違いを犯した有権者」が「過ちを認めて」、民主党に頭を下げて政権を担ってくださいと懇願するようになるとでも思っているということでしょうか?