「ネット右翼」という用語を使うべきでないと思う理由

ズバリ定義が曖昧だからです。
ネット右翼」には様々な定義があるようですけど、その中でも有名なのは、
A「ネットで右翼的な考えを主張する人」
B「ネットで他人のブログを攻撃して閉鎖に追いこむ人(右翼的な考えをする者がほとんど)」
というものがあります。


しかしA=Bではありません。
右翼的な主張をしていても、他人のブログに一切コメントしない人もいます。
それなのに、そういう人まで、「ネット右翼=他人のブログを攻撃する人」と受け取られる可能性があります。
書いた人は、そういうつもりが無くても、読者がそう受け止める可能性があるということです。
あるいは意図的にそういう印象を与えようとする人もでてくるでしょう。


ネット右翼」という用語を使いたいというのなら、自分の使っている「ネット右翼」とはどんな意味であるのかを説明すべきです。
それも一回説明したら、説明不要ということではなく、使う毎に説明すべきです。なぜなら、必ず読者が全ての記事に目を通すとは限らないからです。誤解したとしたら、それは読者の責任ではなく、書き手の責任です。


しかし、わざわざそんなことをしなくても、以前から「荒らし」という用語があります。
なぜ、それでは満足できないのか理由がどうしても俺にはわかりません。
「右翼的」な「荒らし」を批判したいのなら、「右翼的な荒らし」と書けばいいだけのような気がします。
そもそもブログのコメント欄が荒れるのは、政治的なことが理由になっているものだけではありません。
むしろ、政治とは関係ないことで荒れている例の方が多いです。
なぜ、ことさらに「ネット右翼」というものがクローズアップされるのか、実に不思議なことだと思います。もしかしたら、「政治オタク」な人が、他の例を知らないだけかもしれません。


ネット右翼」には侮蔑的なニュアンスが含まれています。同様に「ウヨ」「サヨ」という用語があります。これらは、上品な言葉ではないので、使用をオススメできません。
しかし、「ネット右翼」と違って、「ウヨ」「サヨ」は「右翼」「左翼」の侮蔑的表現にすぎず、誤解することはありません。
「右翼」「左翼」とは何かという問題がありますけど、「ウヨ」「サヨ」は「右翼」「左翼」のことであるという意味において混乱はありません。
もっとも、「右翼」「左翼」でない者に対して、「ウヨ」「サヨ」とレッテル貼りすることはあります。とはいえ、それはあくまで「右翼」「左翼」の意味であることに変わりはありません。「おまえの母ちゃんデベソ」みたいなものです。本当に「デベソ」なのかといえば、そういうわけじゃないけど「デベソ」とは「デベソ」の意味です。


というわけで、「ウヨ」「サヨ」は単なる悪口であるのに対し、「ネット右翼」はそれ以上に「印象操作」を誘発する恐れがあるという意味で、より悪質な用語であると思われ、それにもかかわらず、この用語を使用する人の文章は、よほど注意深く読む必要があると思います。