福沢諭吉翁かく語りき

福翁自伝』の「独立の手本を示さんとす」から一部引用。

一国の独立は国民の独立心から涌いて出てることだ。国中を挙げて古風の奴隷根性では迚も国が持てない。出来ることか出来ないことかソンナことに躊躇せず、自分がその手本になってみようと思い付き、人間万事無頓着と覚悟をきめて、ただ独立独歩と安心決定したから、政府に依りすがる気もない、役人に頼む気もない。貧乏すれば金を使わない。金が出来れば自分の勝手に使う。人に交わるには出来るだけの誠を尽して交わる。ソレデモ忌と言えば交わってくれなくても宜しい。客を招待すれば此方の家風の通りに心を用いて饗応する、その風が嫌いなら来てくれなくても苦しうない。此方の身にかなうだけを尽して、ソレカラ上は先方の領分だ。誉めるなり譏るなり喜ぶなり怒るなり勝手次第にしろ。誉められてさまで歓びもせず、譏られてさまで腹も立てず、いよゝ気が合わねば遠くに離れて付き合わぬばかりだ。

『新訂 福翁自伝岩波文庫


後半部分は、ブロガーとしての心得としても使えますね。ってそういうつもりで引用したわけじゃない。「貧乏すれば金を使わない。金が出来れば自分の勝手に使う」ここが気に入ったから。