アンチサヨクとしてのウヨク

仙谷官房長官の「自衛隊暴力装置」発言がネットで大きな話題に。

 仙谷由人官房長官は18日の参院予算委員会で、「自衛隊暴力装置」と述べた。その後、「実力組織」と言い換えた上で、発言を撤回し、謝罪した。

 「暴力装置」の表現は、かつて自衛隊違憲と批判する立場から使用されてきた経緯がある。

asahi.com(朝日新聞社):仙谷氏「自衛隊は暴力装置」 参院予算委で発言、撤回 - 政治

 「暴力装置」はもともとドイツの社会学者のマックス・ウェーバーが警察や軍隊を指して用い「政治は暴力装置を独占する権力」などと表現した言葉だ。それをロシアの革命家、レーニンが「国家権力の本質は暴力装置」などと、暴力革命の理論付けに使用したため、全共闘運動華やかなりしころには、主に左翼用語として流通した。

仙谷氏「暴力装置」発言 謝罪・撤回したものの…社会主義夢見た過去、本質あらわに (1/2ページ) - MSN産経ニュース


俺は警察や軍隊が「暴力装置」だというのがマックス・ウェーバーが用いたというのは知らなかったけれど、この話は何度も聞いたことがあるし、その通りだと思っていたので、これが何でこのような大騒ぎになっているのか、心底理解に苦しむ。


それに、この話は誰でも知っているとまでは言えないかもしれないけれど、大いに普及している話だと思っていたので、「学術用語だ」云々という話にも納得しかねる。


また、初耳だったとしても、文脈を考えれば別におかしな話だというわけでもないでしょう。


まったくわけがわからない。


ただ、思うにレーニンの「暴力装置」という言葉が左翼に流通していたというのは確かなんだろう。それで左翼に対する反発というのがあるということなのかもしれない。


ところが、ここでまた一つ疑問に思うことは、レーニンが使用した「暴力装置」という言葉と、左翼が使用している「暴力装置」の意味が、一致しているのかということだ。


検索してみると、確かに自衛隊を「暴力装置」と呼んでいる左翼っぽい人の記事がたくさんある。ところがそこでの使用例を見ると、単なる暴力集団という意味で使っているように見受けられる例がいっぱいあるように思われ。レーニンの用語の「誤用」と言い切っていいのかわからないけれど違和感のある使い方だ。


「本物の左翼ではなくてサヨクだ」みたいな言い方があるけれど、それに該当するかもしれない。


で、そのサヨクに対するアンチテーゼとしてウヨクの主張が登場する。というわけで、こんな主張が出てくるということになるんだろうか。

 「暴力装置」は無法の暴力集団をイメージさせる。

【主張】仙谷官房長官 更迭に値する自衛隊否定 - MSN産経ニュース


前にも書いたかもしれないけれど、サヨクとウヨクを足しても全体にはならない(中間があるという意味ではなくて)。全体の中の一部の空間でサヨクとウヨクという似たもの同志がやりあっているんだろうというのが俺の実感。