ユニコーンの巣

痛いニュース(ノ∀`) : 北朝鮮考古学者 「ユニコーンの巣を発見した」 - ライブドアブログ


ユニコーンの巣」とは何ぞ?そもそも東アジアにユニコーンは存在するのか?(もちろん正確には「ユニコーンの伝説」ということだが)。


あまりにも突飛すぎる。というわけで調べてみた。


痛いニュース」のソースは、
【ファンタジー速報】北朝鮮考古学者が「ユニコーンの巣を発見した」と主張 / 海外ネットユーザー「マジかよ!」「ワオーッ!!」(ロケットニュース24) - 海外 - livedoor ニュース


「ロケットニュース」のソースは「SKY NEWS」としかないが検索すると、
North Korea: Researchers Find 'Unicorn Lair'
という記事が見つかる。


「SKY NEWS」のソースは「Korean Central News Agency」(朝鮮中央通信
News From KOREAN CENTRAL NEWS AGENCY of DPRK
しかし、トップページのリンクだけで肝心の記事が見つけられない。



で、一つ戻って「SKY NEWS」の記事。「Yongmyong temple」という文字がある。


検索すると、英語版Wikipedia
Yongmyongsa - Wikipedia, the free encyclopedia
という記事があり、漢字で「永明寺」と表記することがわかる。


そこで「永明寺 平壌」で検索してみる。
永明寺 平壌 - Google 検索


すると
自主・平和・親善のために:高句麗始祖王の麒麟窟を再確認 - livedoor Blog(ブログ)
という記事が見つかる。

平壌11月29日発朝鮮中央通信】最近、社会科学院歴史研究所の研究者たちが平壌牡丹峰清流壁一帯で高句麗の始祖王である東明王 (高朱蒙)の麒麟窟を再確認した。


 麒麟は東洋で言う幻想上の動物で、聖人を乗せて歩く馬として伝わっている。

 普通麒麟馬と言い、「麒麟馬がいたところ」を麒麟窟と言われている。

 今回再確認された東明王麒麟窟は、牡丹峰の永明寺から200メートルのところに位置している。


ユニコーン麒麟であった。



なお、上に書いたように「そもそも東アジアにユニコーンは存在するのか?」という疑問があったので、そっちを先に調べていて、「一角獣 東アジア」で検索したところ、
麒麟考 : 東アジアにおける一角獣表象の基礎的研究 (一)
という論文がヒットしていたので、多分そういうことではないかという見当はついていた。


というわけで、「ユニコーンの巣」というのは、いかにも胡散臭い話のように見えるけれど、それほどのものではない。もちろん北朝鮮の学者が麒麟が実在すると考えているという話でもない(と思う)。


ただし、それが本当に東明王の遺跡なのかというと、そっちの方は、俺はその方面に無知なんでわからない。記事にも「東明王の伝説」とあるので史実と断定しているわけでは無さそうにも見える。「後世において東明王に縁があるとされてきた遺跡」と考えるのが無難だろうか。


だが、かの国のことだから、それ自体もまた素直に信じてよいものかというところがあるのではある。


(追記)
さらに「麒麟窟」で検索すると、
北朝鮮でユニコーンの巣(というか麒麟窟)が発見されたって?
という記事がヒットして、
No, the North Korean government did not claim it found evidence of unicorns
というGizmodoの記事のリンクがある。


英語が苦手なんで、よく理解できないが、ユニコーンという英訳が誤解を招いていることが書かれているみたい。で「麒麟窟」と正しく理解したところで、平壌に東明王の遺跡があるのはやっぱり怪しくないかという疑問、要するにでっち上げじゃないかということが書かれている模様。


(さらに追記)

東明聖王の陵墓は平壌市の東方25Kmの地点に推定陵墓が存在し、東明王陵と称されている。元来は集安にあったものを、平壌遷都とともに遷されている。

東明聖王 - Wikipedia

明王の時代の高句麗の首都は平壌ではない。だから平壌に陵墓はあるのはおかしい。でも平壌にあるったらあるんだもん。移転したと考えればおかしくないじゃん。という理屈らしい。


(さらなる追記)
ただし、

 16世紀に編さんされた「新増東国輿地勝覧」の平壌条にも永明寺という項目で「錦繍山浮碧楼の西の方に麒麟窟がある」とした。

自主・平和・親善のために:高句麗始祖王の麒麟窟を再確認 - livedoor Blog(ブログ)
というのが本当だとしたら「16世紀に東明王麒麟窟だと考えられていた遺跡」という点で一定の価値はあるはず。だが、これさえ本当かどうか疑わなければならないのであった。