16世紀のヨーロッパにおける日本の地理的認識

ヨーロッパの地理認識における金銀島としての北海道島 - 北の考古学

 図はwikipedia“Abraham Ortelius”からMaris Pacifici(太平洋図)1589年(部分)。「Isla de Plata 金の島」は北海道の特徴をよくとらえているではないか。奥尻・天売・焼尻など日本海側の諸島も認識されているようで驚く(にしても金の島、佐渡じゃないだろうな)。

面白い。面白いんだけど、Isla de Plataは本当に北海道なのだろうか?


地図を見ると「Iapan」とあり九州・四国「Tonsa=土佐?」・本州らしきものが描かれている。その北にある大きい島だからいかにもあ北海道っぽい。


だけど本州の地図が怪しげ。


文字があるけど俺は読めない(オランダ語?)


まず「Mmas de plata.」について。「Isla de Plata」は「金の島」だということは「plata」が「金」ということだろうか?「本州」にも「plata」とあるのが興味深い。


次に「Amangucha」。全く意味不明。ただし、なんとなく「山口」ではないかと思う。赤い記号の意味もわからないけれど「教会」っぽい。


次がちょっとはっきりしないけれどMuroではないかと思われる。だとすれば「室津」(兵庫県たつの市)であろう。教会マーク?があるが、このあたりは小西行長が支配しているからだろうか。


次に「Meaco」とあるのは「ミヤコ」だろう。教会マークあり。
※なおオルテリウスの別の地図に「Miaco」という地名あり。「Iapan」「Lequio」とあるので、地理的におかしいけれど「宮古島」であろうか?
1564 Typus Orbis Terrarum


「Meaco」の南に「Fiongo」とある。これは何だろうか?わからない。兵庫?でも地理的におかしい。


さらに南に「Bandel」とある。これもわからない。わからないけれど「坂東」ではなかろうか?


だとすると、この地図は京都の東が南になっている。関東地方は京都の南にあり、東北地方も南ということになるだろう。これは古来日本列島が南北になっている地図を踏襲しているものと思われる。


さて、「Fiongo」の東に「Y.de Ladrones」という島がある。東が南になっているのだとしたら、この島は日本海側にあることになると思われる。これがおそらく佐渡島だろう。


※ ちなみに「Ladrones」とは泥棒という意味らしい。マリアナ諸島が「Islas de los Ladrones」、中国広東省の万山諸島が「Ilhas dos Ladrões」と呼ばれている。なぜ「泥棒島」という名前の島が多数あるのだろう?これも「金銀島」と同じく伝説があるのだろうか?


で、北海道である。関東・東北が南にあるのなら、北海道も南になければならない。しかし、日本の地理情報と北海道の地理情報が別のものだったら、北海道だけ北にあったとしてもおかしくはないのかもしれない。そうではなく「架空の島」の可能性もある。しかし地形が詳細なので何らかの情報を元にしているものと思われる。


※ なお「Bandel」の南に「Las dos hermanos」という島がある。「二人の兄弟」という意味らしい。また「Malabrgo」という島がある。検索すると毛糸のブランド名がヒットするけれど本来の意味はわからない。あと本州の先っぽに「C dos cestas」と書いてある。南にあるけれど実は北なので津軽海峡に相当するのではないかと思われるが不明。



この手の話、非常に非常に大好物なんだけれど、図書館で漠然と探しているだけでは、詳しい解説のある本がなかなか見つからない。何かいいのあったら教えてほしい。