本筋にはあまり関係がないかもしれないが気になること。
曽野氏のコラム
黒人は基本的に大家族主義だ。だから彼らは買ったマンションに、どんどん一族を呼び寄せた。白人やアジア人なら常識として夫婦と子供2人くらいが住むはずの1区画に、20〜30人が住みだしたのである。
以下略。読みたい人は検索でもしてください。
それに関して荻上チキ氏との対談での発言
荻上
そうですね、そのときに「黒人だから」とその人は話していたが「貧困だから」あるい
曽野
でも、なんで。黒人が大家族主義なんです。荻上
いやあの(苦笑)、「黒人が」というのは例えば黒人ってニューヨークにも住んでいるし、他の様々な地域にいて核家族化している方もいる。
曽野
大体そうなんです。イエローとかホワイトとか言うよりも愛情があるんですよ。だから全部家族呼んじゃいます。私たちは見習うべきところがたくさんあります。
荻上
日本人も昔は大家族主義だったんですね。でも環境が変わって変わりましたよね。最後に一点だけ確認なんですけれども、これらに、つまりアフリカ日本協議会や他の方から届いたこちら置いておきますが、これらについて返答する予定は無いということですか?
曽野
あの、強いてすれば、私は撤回するつもりはございません。
⇒荻上チキによる曽野綾子氏へのインタービュー書き起こし - さかなの目
曽野氏は黒人が(例外はあっても大部分は)大家族主義だと認識している。それに対して荻上氏は「日本人も昔は大家族主義だった」と反論している。なおそういう批判はネット上に多くある。
しかし、ここが俺には腑に落ちないのである。どっちも誤解があるのではないかと。
で、今回のBSフジ プライムニュースでの曽野氏の発言。
曽野「わたしがみんなから聞かされたマンションの話。だれかが嘘をついたと言われたら仕方がない。現実にはマンデラ氏はもう自由になっておられた。みんな自由になっていてうわさ話だか本当か分からないが私の耳に入った。」
⇒BSフジ プライムニュース『曽野綾子氏×南ア大使 移民コラム反響と真意』 - Togetterまとめ
曽野氏はこのマンションの話を「みんなから聞かされた」のだという。つまり実際に自分で見たわけではないのだ。それで曽野氏は
大体そうなんです。イエローとかホワイトとか言うよりも愛情があるんですよ。だから全部家族呼んじゃいます。私たちは見習うべきところがたくさんあります。
と、黒人は他の人種よりも愛情があるから大家族なのだという理解をしたんだと思われる。
一方の荻上氏は「日本人も昔は大家族主義だった」と、黒人の大家族と日本の大家族を同じものだとみなしている。
でも、これってそういう話じゃないんじゃなかろうか?
もちろん少子化の日本と違って南アフリカでは1人の女性が産む子供の数は多いに違いない。また親戚一同が一つ屋根の下に住むということもあるだろう。
しかし、これはそういう話じゃなくてアフリカに多い一夫多妻制の大家族のことではないのだろうか?
南アフリカで一夫多妻は合法で、ズールー(Zulu)やツォンガ(Tsonga)など主要民族の間に浸透している。ズマ大統領はズールー人、チャウケさんはツォンガ人だ。
⇒1つ屋根の下33人、南アの一夫多妻家族 大統領の6回目結婚も歓迎 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
一夫多妻制はアフリカの広範な地域にある風習だ。もっともAFPの記事に
だが、近代化とともに欧米化が進み、一夫多妻も減少傾向にある。2010年の調査によれば、南アフリカ国民の4人に3人が一夫多妻に否定的だった。とりわけ女性では83%が反対だった。
1世帯あたり人数も減少しつつあり、1996年に4.5人だった平均世帯人数は、2007年には3.7人になった。
とあるように南アフリカ共和国においては一夫多妻の伝統は衰退している。とはいえ大家族が存在するのは確かなのだから、曽野氏に話をした人はそのことを語ったのではないのだろうか?
いや、もちろん曽野氏がこの話を聞いた現場に俺がいたわけではないので、そういう話ではなかったのかもしれないけれど…