同ミュージアムを訪れる人からは「『けむしの物語』なのにチョウの幼虫もガの幼虫も出てこない」との声もあるという。
(元ネタ)
⇒「源氏なのに義経が出てこない」の苦情受け…源氏物語ミュージアムで企画展 - 産経WEST
(追記11:00)
「源氏物語=けむし物語」というネタを聞いたのは中学校の時だったか高校のときだったか。ネタとして聞いてたのでしっかりと覚えてはいない。さっき検索したら
⇒【「けむしのものがたり」は源氏物語か】
ってのがあって、紫式部は「源氏」を「けむし」と書かないという要旨。そういう話も前に聞いたことがあるような、でも特に関心がないので記憶はおぼろげ。この話には続きがあって
⇒「けむしのものがたり」: ことば会議室
『大島本 源氏物語』に「けむしの大納言」と書いてあるという。
この大島本は室町時代の文明年間の写本だということですから、そういう表記もありうる、とのご説明付きです。
私もこの部分を見て見ましたが、やはりここに校異が無いのは寂しいですね。
とある。ちなみに「校異」とは
古典などで、同一の作品に複数の異なった本文がある場合、文章の語句や文字の異同を比べ合わせること。また、その作業の結果。
なお「大島本」のこの部分、ネットにテキストがある。
http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/original14.html
これを見ると確かに「けむしの大納言」とある。しかし他を見ると「けんしの君」という表記もある。とすると「けむし」という表記があるのか、それとも単なる誤表記なのかよくわからない。
ただ、検索すると江戸中期の「源氏物語引哥」の題簽書名(題名を紙片等に書いたもの)が「けむし物語引哥」になっている。
⇒源氏物語引哥
ということはやはり、紫式部は「けむし」とは書かないかもしれないけれど後世においては「けむし」の実例はあるように思える。しかし検索して見つけられたのがこれだけなので、極めて少数の例外なのかもしれない。
さて話はさらに広がって、検索すると、常陸佐竹氏の甲冑の兜の前立てが「毛虫」で、なぜ「毛虫」なのかというと、「源氏」=「けむし」だから、佐竹氏が源氏の正統だということを示すためというのがあるらしい。
⇒"佐竹" "源氏" "けむし" - Google 検索
果たしてその説は成り立つのであろうか?なお「けむしと発音していた」書いてある記事が結構あって、おそらくは同一ソースの孫引きなのであろうが、「けむし」と表記することはありえなくはないけれど「発音」はさすがにないだろうと思われ。誰がそんなことを言い出したのだろうか?