ムハンマド風刺漫画問題

いろんなブログで、有意義な考察がなされていて、興味のある問題なんだけど、難しいですねえ。
俺は、イスラムの文化も、ヨーロッパの文化も、法律論についても、民主主義についても、何から何まで無知なんで、これについてろくなことは語れない。


で、この問題は、イスラム文明とヨーロッパ民主主義の対立という形で捉えられていることが多いのだけど、対立の図式としては、そう単純な問題ではなく、政府と政府、民衆と民衆、政府と民衆という対立の構図が複雑に絡み合っていると思うのですね。


イスラム諸国の政府は、風刺画を批判しているけれども、だからといって、自国民が暴力的手段を行使することを許容しているわけではありません。過激な抗議デモを厳重に取り締まっています。アフガンではデモ隊に発砲して死者も出ています。もちろん国によって違いがあるわけで、イラン政府などは大衆を煽っているとして米国が批判していますけど。


欧州政府も風刺画を歓迎しているわけではなく、憂慮しているのだけど、「言論の自由」という民主主義の根本原則があるので、介入することができないわけですね。


欧州政府が、自国の新聞社が風刺画を掲載するのを規制することができないのと同じように、イスラム政府だって国民の暴徒化を規制するのには限界があるわけで、下手すりゃ自分たちまで攻撃の対象になってしまいます。


じゃあどうすべきかって言えば、民衆がお互いに良識を持って行動するなんて口で言うのは容易だけれど、そんなことが簡単に出来たら誰も苦労しないわけで、100年200年かかっても解決しそうにない問題を、今すぐにどうにかできるわけがなかろうと思うわけです。根本的な解決など近い将来にあるとは思えないし、遠い将来にあるのかもわかりません。


この問題で政府が関与できることは、両者共に非常に限られた範囲でしかなく、「最悪の事態」が起きないよう、関係者が知恵を絞ることが重要なのであろうと思います。


どうも、こういう場合、欧州の「政府と民主主義の関係」について論じられることが多いのに対して、イスラム諸国の政府と民衆の関係が論じられずに、イスラムとひとくくりにして論じられているのが多いような気がするので、ちょっと書いてみました。