ネットで広がる怪しげな情報。

インターネット上で、怪しげな情報が広がった例として、すぐに思い付くのは、「イラク人質事件自作自演説」(2004年)。
巨大掲示板2ちゃんねるを中心にして、驚くほど広く流通した。
ただし、どれだけの人間が本気にしていたのかはよくわからない。


そもそも「自作自演説」は大きな事件があれば必ずといってよいほど発生する。
その前にあった、「建国義勇軍事件」(2002-2003年)も自作自演説が流れていた。


また、「アメリカ同時多発テロ事件」(2001年)の時、事件発生前に2ちゃんねるに「今夜、映画なんかよりもっとおもしろいことが起こるよ。お楽しみに・・・」というような予告書き込みがあったという情報が流れた。何とそれは新聞の記事にもなった(「東スポ」だけど)。
(参考:うわさの日記vol.19  9/15)http://homepage2.nifty.com/rumor/vol19.html


この予告があったというパターンも多く、人質事件の時も、今井君がネットで「ヒミツの大計画」という書き込みをしたという情報が流れたのは有名な話。


こういう情報を鵜呑みにする人はオメデタイとしか言いようがないのだが、中にはわかっていてネタとしてやってる人もいるだろうし、第一、ネットに多数の書き込みがあるからといって、それがそのまま日本人の大多数がそれを信じていることになるわけじゃないことは、ちょっと考えればわかること。


しかし、「人質事件」の時は、メディアで自作自演説を連想させる記事が出た。それも「東スポ」ではない。ネット情報とは別ルートからの情報もあるのだろうが、さすがにこれには驚いた。
この手の話は100%否定することはできないが、だからといって証拠不十分で信用することもできない話。
それを大手メディアが報道することは、ネットで流れる噂話とは重みが違う。
そういうこともあってか、著名な人まで「自作自演」であるかのような主張をしだした。
当時、学識も経験も豊富な人達が、こんな話をするのに(信じたわけではなく、可能性を述べただけだという反論が予想できるが)、失望したのだが、今では「よくあること」と何の感慨も抱かないようになってしまった。


さて、去年末から現在まで続くネットの話題といえば「きっこの日記」である。
以前から多少話題になっていたが、「耐震強度偽装問題」で、マスコミに先駆けて総合経営研究所が背後にあることを指摘するなどして、一躍有名になった。ネット上で大きな話題になったが、それだけではなく、マスコミが取り上げ、著名人が言及することによって、さらに大きな存在となっていった。「きっこの日記」は確かに面白いし、(例えそれが既にネットに書かれてあったことだとしても)貴重な情報が含まれていることがあるが、書かれている情報は虚実入り交じっていて、全てを素直に受け入れてしまうのは危険である…というのはわざわざいうまでもないことではあるが。


そもそも「ネットに流れる情報を鵜呑みにするのは危険である」というのは、ネット利用者全員とは言えないだろうが、大多数の利用者が共有している「常識」であろうと俺は思う。もちろん大手マスコミといえども信用できないことは多いが、やはりそこには大きな差がある。


だが、そんなネット情報であっても、それを大手マスコミや著名人がお墨付きを与えると、信用度が飛躍的に増す可能性がある。
それが今後大きな問題になってくるかもしれない。すなわちマスコミ自身が記事にするのは躊躇される情報を、有名ブロガー等にリークして、それをマスコミが記事にするという形の、いわゆる「ソースロンダリング(by goriさん)」的な手法がされることが懸念される。