ブログが選挙に影響を与えるか(8/28)

去年の8月28日に、以前やってたブログに書いたものを一部改変。(そのブログは削除されて今はない)。8月25日に行なわれた自民党懇親会についての感想。上に書いたことと関連するので再掲。
(参加者一覧)(1)(2)


6月に、読売新聞の「子どもはみなブログを持て!」という記事と、共同通信が『実名でのネット活用促す 総務省「悪の温床」化防止』がネット界で波紋を呼んだとき、「趣味のWebデザイン」の徳保隆夫氏が、「報告書を読まずに批判するのも、賛成するのもリスクのある行為です。」と指摘したんだけど、実際のところ、それが広い範囲に影響するようになったのは、「ITmedia」が『「ネットに匿名性は不可欠」――総務省http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0507/01/news059.html)という記事で、その話を紹介したのが大きかったと思われる。


まあ、この場合は選挙の場合とはちょっと違うかも知れないけど、徳保氏の指摘だけでは、一部に影響を与えるだけだったろうと思われるものが、報道をきっかけにして大注目されるようになり、その意味で、報道の影響力が強かったわけだけど、一方、総務省に疑いを持っているブロガーは、総務省がメディアに圧力を加えるかもしれないという疑念を持っているわけで、いくら有名記者である岡田有花氏の記事であろうと疑いを持つと思うのです。それが個人ブロガーが前から指摘していたということで、その疑念が解けたという要素もあったのではないかと思うわけです。(かなり俺の推測部分が多いんだけど)


つまり、相互作用があったと思うんですね。

だから、これは使いようによっては強力な影響力を持つのではないかと考えられるわけです。
ただ、今回はそれほど影響を与えないでしょう。
招待されたブログ・メルマガの管理人は、もちろん多数の購読者を持っているわけだけど、限定された購読層だし、実際に読んでいるかもわからないし、読んでみてもそれほど選挙に影響を与えそうなことは書いてないですしね。そもそも誰が招待されたのかも、(ネット界で)超有名どころの「はてな」の近藤社長とか、今回一躍有名になった泉あい氏他数名は知ってても、その他に誰が出席したのか、さらにURLを知っている人となると極めて少数に限られているようです。自分が購読しているメルマガの管理人が招待されていることすら知らない人もいるでしょう。


だけど、これが政治系ブログの超有名人だったら、かなり違ってくるんじゃないかと思います。メディアといってもテレビはちょっと難しいかもしれないけど、新聞・雑誌で紹介されて、複合的に作用すれば、かなり大きな影響力を与えると思います。


なぜかといえば、政治家・政党・大手マスコミ・評論家・既存のジャーナリストと比べて、彼らは身近な存在であるように思われるであろうからです。たとえその人をマスコミで紹介されるまで知らなかったとしてもです。


既存の「権力」が発言しても、それほど大衆には響かないと思います。彼らが意図していることが見え見えだと考えるからです。仮にそういう意図がなく本音で語ったとしても、無意識のうちに身構えるでしょう。ただし直接的な言葉ではなく「演出」には効果があると思います。「演出」には、身構えている大衆の防御を乗り越える効果があります。だまされるまいと身構える大衆を巧妙な「演出」で誘導しようとする試みは日常的に見られます。


現在、よく見られるのが「識者のコメント」というやつです。
知っている人は、よく知っていることですが、新聞社はそれぞれカラーを持っていて、自分達の政治的立場に都合の良い主張を、新聞社が直接するのではなく「識者」に代弁させていることがしばしばあります。あと「海外の新聞」がこう報じているというのもよくあります。これがよく使われる理由は、それが大衆の防御を乗り越える効果的な方法だからでしょう。


似たようなことはネットでもやれるはずです。というかすでにメディアは「インターネット新聞」をプッシュしています。「インターネット新聞」にこういうことが書いてあったと、自分の新聞に紹介するわけです。


こういったワンクッションを置いて、自分の主張したいことを浸透させるというやり方は効果的なようですから、ブログによって世論を誘導するのも当然アリでしょう。すでにやっているかもしれません。(といってもネット上で工作員と言われているものは、いい加減なレッテル貼りが大多数でしょうけど。)


今はまだ、そういったケースは少数でしょうけど、ブロガーが雑誌などに寄稿することが多くなるかもしれません(元からの著名人は除く)。「ガ島通信」の藤代氏は某新聞の記者でしたが著名ではありませんでした。ブログによって有名になり、既存メディアに頻繁に登場するようになりました。氏の場合はブログでの活動で有名人になりましたが、たいして有名でもないブロガーが既存メディアに登場して、ブログと既存メディア双方で名前を売り出すなんてことがあったら要注意だと思います。背後に何かがあるかもしれません。


で、上に書いた総務省の記事のようなケースは、相互作用が良い結果を招いたと思うんだけど、悪用されたら、ちょっとヤバイのではないかと、そんな懸念も持っているわけです。


ただまあ、ブロガーが政党に招待されたことがわかってて、それでその政党を支持するような記事を書いたとしても、それが大きな影響を与えるかつうと、それはさすがにないでしょうね。


それと今回は「懇談会」なわけであって、企業の「IR活動」のようなものですから、新聞記者の取材とはちょっと違って、泉あい氏以外はそういう心構えがなかったのじゃないでしょうか。


何かアメリカでブロガーがホワイトハウスの記者会見に出席を許可されたということと、同一視しているような感覚の人もいるようですけど、それとは違うと思います。記者会見のようなものはそもそも選挙に影響を与えたとしても、必ずしも自党に有利になるというものではありませんから本音ではやりたくないでしょう(と俺は思う)けど、ブロガーにも取材の権利を与えるというのが時代の流れになれば、やらざるを得なくなるかもしれませんし、「開かれた政党」というイメージ戦略上の問題もありますから、今後を注目したいと思います。(最大の難関は記者クラブでしょう)