人民の人民による人民のための政治

有名なリンカーンゲティスバーグ演説
「人民の、人民による、人民のための政治」(government of the people, by the people, for the people)


極東ブログ『国民による国民のための国民の政府』によると、

日本だと、日本国があって、国民がいて、政府がある。で、この、"government of the people, by the people, for the people"というのは、政府というもの性質が、"of the people"国民に所属する、"by the people"国民が運営する(たぶん委託する)、"for the people"受益者は国民である、ということなんじゃないか。

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2006/06/post_ac5f.html
と説明されている。


一方、岡田晃久+山形浩生訳によると、

(*2) government of the people, by the people, for the people. 「人民の、人民による、人民のための政府」と訳すのがふつうなんだが、なんとなく耳あたりはよいのでみんな流してきいてしまう一方で、これがどういう意味かをきちんと考え、説明できる人は少ない。特にいちばん最初の「of the people」の部分。ふつうはみんな、「人民の」というので、「人民が所有する」という意味だと思っている場合がほとんど。そうではなく、これは統治される対象が人民であることを指しているのだ。

 アメリカ建国以前の政府というのは、人民(という統治される対象)を、官僚や貴族たち(という統治する主体なり実体)が、王さまや教会(という統治の旗印なりなんなり)の利害のために支配する、という形態だったわけだ。それとの対比で考えてもらうと理解しやすいかと。

http://www.genpaku.org/lincoln/lincoln01.html
と、違う解釈が。


それに対しては、

で結論から言えば、ぼくは「of the people」は人民が統治の対象って意味ではなく、人民が統治する権利をもってるという意味の「人民の」だと考えています。

http://hw001.gate01.com/katokt/Gettysburg.htm
という反論が。


一方、丸谷才一氏によると、

「人民を、人民によって、人民のために統治すること」

ということになるらしい。
http://www.labo-party.jp/hiroba/top.php?PAGE=sakurai&MENU=UPAGE&UP_ID=8030


ところが、この丸谷才一氏の解釈に、マーク・ピーターセンというアメリカ人が異議を唱えている。
http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2004/08/post_5.html


そして、上の記事でも触れられているが、中国では、「民有、民治、民享的政府」と訳されている。
ウィキペディアでは「民有、民治、民享之政府」)
http://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%97%E8%82%AF


ところが、「民有、民治、民享」とは、孫文の唱えた「三民主義」のことである。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%B0%CC%B1%BC%E7%B5%C1


もうわけがわからん。お手上げ。