ルール(3)

(おまけ)

しかしもし手口を知って解約していたら、これは明らかにインサイダー取引になってしまうではないか。

これを一般的にはインサイダー取引とは言わないと思います。というか、朝日の社説が近いというが、そんなこと書いてあったっけ?「その投資手法への毀誉褒貶(きよほうへん)は耳に入っていたはずだ。」ってところか?でもこれはインサイダー情報じゃなくて、一般に言われていたという意味で、日銀総裁就任時に解約すべきだったという意味ですよね。そうではなく、捜査情報を知って解約するということだとして、これが証券取引法インサイダー取引規制に当たるのだろうか?村上ファンドは上場してないし。どうもわからない。何かの法に触れるのかもしれないけど。まあ道義的責任(「広い意味でのインサイダー取引疑惑」)は逃れられないですね。で、

就任後のどの時点で解約したとしても、今からみれば、インサイダー取引の疑惑を免れることはないだろう。

というのは、それは意味的にはその通りだが、「就任後」解約すべきだったという主張がどこにあるのかわからない。少なくとも主要新聞でそんな主張をしているところは見あたらない。

いわれる「道義的責任」の「道義」はインサイダー取引が発覚した後に生じたものだからだ。

何か勘違いしているのかもしれないけれど、最大の問題はインサイダー取引で逮捕された村上氏のファンドに投資したということではなくて、金融政策上のキーマンが、私募ファンドに投資しているということですよね。この場合のインサイダーは村上氏でなくて福井氏なんですよね。


日本は法治国家だから、事前に法律がないのに事後の法律で罰することはできない。しかしこれは法律問題ではない。


そして、事前の法律はなくても、倫理はあった。突然倫理が変わったわけではない。この場合の倫理とは「公的な人間が自分の地位を利用して私服を肥やしてはいけない。またそう疑われる行為は慎むべきである」という倫理だ。具体的ではないから、今回の件がその倫理に反するのか反しないのかといった議論の余地はある。反しないと思う人は、反しない理由を挙げて反論すべきだろう。しかし、事前にルールが無かったのだから、批判するべきではないというような類の批判はおかしいと思いますね。