ネットイナゴ(3)

上で、「ネットイナゴ」という用語を使用するのは、この観点で見る限りは構わないとは思うと書いたけど、実際は「ネットイナゴ」という用語を使いたい人は、それに該当する人を見下したい、馬鹿にしたい、罵倒したいというのが本音なんではなかろうか?


ネットイナゴ」は単なる罵倒語になる可能性は大きい。
しかし、これを考え付いた人はどういうつもりだったかはともかく「ネットイナゴ」とは言い得て妙だ。


なぜならイナゴは害虫とされているが、それは人間の都合によるものだからだ。
別にイナゴは悪いことをしようと思っているわけではない。生きるために人様の作った作物を食べているだけだ。しかも作ってくれと頼んだ覚えは彼らにはない。彼らが卵から孵化したとき、たまたま目の前に稲があったというだけだ。


ところで、イナゴは漢語で「蝗」と書き、これにはトノサマバッタも含まれる。これが大量に発生して農作物に大被害を与える。「ネットイナゴ」はこの「イナゴの大群」をイメージしたものだろう。で、その時イナゴは相変異を起こし体型が変化する。「ネットイナゴ」も集団になると、個々の性格が変化するのかもしれない。


生物学に詳しくないので確かなことは言えないながら、常識的に考えて、イナゴの体型が変化するのは、イナゴ間で共謀してのものではなかろう。それぞれの個体が環境に適応する過程で変化するのだろう。またイナゴの大群は外部から見れば集団行動をしているように見えるけど、別にイナゴの会議があって一緒に行動しようと決定したわけではなく、個々のイナゴが環境に応じて行動した結果、外部から見ると集団行動しているように見えるのであろう。「ネットイナゴ」の場合は人間であるから、中には共謀している者がいたり、リーダーがいたりするのもあるかもしれないが、大半は個々の人間が独自に行動したことにより、結果的に集団になったものであろう。


このあたり、侮蔑したり見下したりする暇があったら、生物学的・社会学的な観点から考察したほうが良いんでないの?と思ったりする。