タイの民主主義

タイ王国の憲法(uumin3の日記)
で紹介されていた、
タイ王國憲法(サワッディータイランド)


その前文が非常に興味深い。

今までのすべての憲法臨時国会統治憲章とは国王が国会を通じて立法権を、内閣を通じて行政権を裁判所を通じて 司法権を行使するという国王を元首とする民主主義体制の統治を堅持したことでは同一であった。


歴代憲法間の重要な相違点はその時々の変化する国家状況に適合さすために、国会の地位、および立法権と行政権との関係が変わったにすぎない。


これらは国王を元首とする民主主義体制の統治へのタイ国民の信望を示している。またこれはタイ国民に国家統治権を下腸したプラチャーテイポック国王の意向に合致するものである。

これは厳密な意味で「民主主義」と言えるのだろうか?言えるのかもしれないし、言えないのかもしれない。政治学に詳しくないからわからない。
表面的には「民主主義」と言えるだろうと思う。だが、実質的には王政国家が「民主主義」という道具を採用したといった感じ。イデオロギーとしての「民主主義」という感じが薄い。
(注:ただしこれは1978年公布憲法であり、現行憲法にも書かれているのかは不明)


俺は前に、
「日本は社会主義国?」
という記事を書いたんだけど、日本は社会主義というイデオロギーを受け入れたのではなくて、社会主義的政策という道具を採用したにすぎないというのが要旨。


今回のクーデターの評価は俺には難しすぎる問題なんで言及しない。クーデターと憲法がどう関係するのか、あるいは、関係しないのかもわからない。
ただ、イデオロギーが何事においても判断の基準になる社会よりも、イデオロギーと現実が対立するときはイデオロギーを尊重しつつ、現実と折り合いをつける社会のほうが個人的には好き。
王の存在しない社会では、王の替わりにイデオロギーが君臨するケースが多いのではないかと想像するんだけど、天皇の存在する日本でもイデオロギーを絶対視する傾向の人は相当数存在すると思われ一概にそうとは言い切れないかもしれない。