朝日新聞の陰謀論否定記事について

真珠湾で無線使わず 旧日本軍の「戦時日誌」 米で発見朝日新聞


俺はこの時代の歴史にも軍事にも詳しくない。かなり低レベルの知識しか持っていないことをお断りしておく。これから書くことは、朝日新聞の記事を読んで持った印象であり、真実がどうだという話ではない。

 発見されたのは、南雲忠一中将率いる海軍機動部隊の中で通信を担当する戦艦「霧島」が属する「第3戦隊」と、航路の警戒などにあたる「第1水雷戦隊」のいずれも1941年12月1〜31日の戦時日誌。無線封止が公文書で裏付けられたのは初めて。

ここから読み取れることは、「無線封止」があったということは、以前から言われていたが、公文書で裏付けられたのは初めてだということ。

しかも真珠湾攻撃に向かう艦船はすべて厳密な無電封止(無線通信の禁止)を行っており、モールス打鍵器にロックが掛けられていたとの証言もある。

真珠湾攻撃ウィキペディア


真珠湾 封止」でグーグル検索すると555件ヒットする。だが、「証言」というのが、誰の証言なのか、ざっと見たところではわからなかった(追記:源田実らしい)。これが結構衝撃的。今回、「公文書で裏付けられた」とはいうことは、逆に言えば、今までは裏付けのないまま、「無線封止」があったことになっていて、それが守られたか、守られていなかったかが議論の焦点となっていたようだ。


ところで、「封止」は「ふうし」と読むのだろうか?「ふうし」とタイプしても変換されない。辞書にも載っていない。朝日の記事によると、発見された日誌には「機動部隊電波戦闘管制」とあり、公式には「無線封止」と呼んでいなかったように見えるが、どっから「無線封止」という用語が出てきたのであろう?お馬鹿な疑問かもしれないが、実際無知なんで一応書いておく。

 戦時日誌によると、12月8日(日本時間)の攻撃前の機動部隊の通信手段は、直前の偵察時の1回以外はすべて発光か手旗を意味する「信号」と記述され、 無線・電波の発信を意味する「無電」との記述はなかった。戦後の飛行隊長の証言では、同月2日に一時行方不明となった潜水艦の捜索のために電波を発信した との説もあったが、これについても「信号」と記述されていた。攻撃成功の原因として「機動部隊電波戦闘管制(無線封止)ノ適切ナル実施ハ敵ニ我ガ行動ヲ偵 知セシムル隙ヲ与ヘズ」と記述している。

ここで、「飛行隊長の証言」があったことがわかる。この「飛行隊長」というのは「淵田美津雄」であろうか?


「無線封止」の神話は完全崩壊、奇襲は読まれていた!「 『真珠湾の真実』をまだ信じない人たちへ 」櫻井よしこ

淵田美津雄(中佐)が、「南雲長官はすごく臆病もので、前日に敵の潜水艦がついているにちがいないから、飛行機出して捜索をやろうと言うんだ。そんな、いまごろ飛行機を出してまた電波が出たりして、ややこしい。やめておきましょ、潜水艦がついておるんならついておるでしようがない、急いで沈めることもないし、放っておきましょうとぼくが言うので、長官も不服だったけれどもやめておったね。ただ、前におる潜水艦が心配になって、お前はどこにおるや言おうと、電波だしたんや」と証言しています。

朝日の記事によると、「一時行方不明となった潜水艦の捜索のため」とあるが、よくよく考えてみれば、無線を使わなければ、潜水艦の居場所がわからないのも当然と思われ、それって「行方不明」というのが適切な表現なのかという疑問があるが、まあ、このことを指すのだろう。


それはともかく、この証言を読むと、電波を発信したという証言があったということのみではなく、「無線封止」の命令があったというよりも、電波を発しないほうが良いだろうという判断があっただけではないかという印象を持ってしまうのだが、どうだろう。こっちを信じるとすると、果たして「機動部隊電波戦闘管制ノ適切ナル実施」というのが、「無線封止」のことであり、全く電波を発しなかったと決め付けて良いものか判断に迷う(追記:山本五十六連合艦隊司令長官が無線中止命令を出していたらしいが、「緊急の場合」は除くとされていたようだ。証言から受ける印象では、かなり拡大解釈されていたようにみえる。それと、これは米側の傍受記録にあるものだそうで、日本側の記録に該当するものがあるのかはわからない)。


それにしても、潜水艦と「信号」(朝日によると「発光か手旗」のこと)で連絡を取ることが可能なのか(電波の場合もだけど)、海面に浮上していたということなのか、軍事知識がないので、俺には良くわからない。


(追記)
ところで、

ルーズベルト大統領が事前に攻撃の日時、場所を察知していたとする「陰謀説」

についていえば、知識がないながらも、常識的に考えて、それはないだろうと思う。米側としては、開戦するにあたって、日本が先に手を出してくれたほうが望ましいと考えていた可能性は高いとは思うが、だからといって、連合艦隊がハワイに向かっているのがわかった上で、それに対応しないなんてことがあるだろうか。その情報だけで、参戦の立派な口実になるんじゃなかろうか。俺は無知なんで、日本側は察知された場合どうするつもりだったのかということすら知らないんだけど、察知されました、攻撃は止めて引き返しますなんてありなんだろうか。


本当、わからないことばかりだ。


そもそも、米側が仮に察知していたとして、日本側はそれをわかった上で「騙し討ち」をしたわけでもないと思うのだが、この手の陰謀論の理屈は理解するのが難しい。さらに「騙し討ち」をしたのだから、原爆投下も止むを得なかったとする理屈は理解できないし、その理屈を批判するには、米側が察知していた、いないということとは関係なく、批判すれば良いと思うのだが、なんか凄くねじれていると感じるのは、俺の理解が足りないからなのだろうか。