福祉国家の最大の受益者は中産階級

EU労働法政策雑記帳: 福祉国家は弱者を踏みつけにする?


蔵研也さんというかたの主張がどういうものかは知りませんが、俺の日記で度々引用している、『保守主義 夢と現実』(ロバート・ニスベット、昭和堂)には、以下のように書いてあります。

中流階級とそれが掲げる様々な価値や要求は福祉国家のなかに決定的に組み込まれてしまっているし、今日では福祉国家は明らかに中産階級を最大の受益者としているが、このことは、福祉国家への反対が過去のものになったことを意味する。広範な社会保障と健康保険への権利が保証され、また収入調査もせず、農民や小企業や巨大教育機関へ年次補助が行なわれ、しかもこの気前のよさは、いまでは大学生への大幅援助、巨大企業の大幅救済、芸術と人文科学のための ‐ またつい最近は政治哲学のための ‐ 納税者負担による大基金の創設にまで拡大されている。これらのすべてと、それに類するはるかに多くのものが、今日の現実の福祉国家の圧倒的部分をなしている。遺憾ながら、いや悲劇的とさえ言うべきだが、「福祉」あるいは「福祉国家」という用語は、人々の心のなかでは、貧困者や障害者の受けとる利益の総計を意味するものとして定着している。だが現実には、これらのグループに回される予算は、中流階級と上流階級に回される歳入の内の一部でしかないのである。

こういう「実態」ついての批判ということじゃないかと勝手に推測。


実はこの部分、知識不足の俺にとっては難解な部分で、保守主義者とされるニスベットがそれにどういう評価をしているのかが今ひとつ理解できていないんですけどね。