現実的な時代

asahi.com:ネッシー「目撃」者激減 英国・ネス湖 - 国際
元記事
Has scepticism done for the Loch Ness Monster? - Times Online

ネス湖の生物を研究しているアドリアン・シャインさん(58)は「いまは現実的な時代。人々は湖上になんだかよくわからないものが動くのを見て、何だったんだろうと考えるときにも以前よりずっとさめたまなざしを向けるようになった」と話す。人間の側の事情が大きいようだ。

これって、

地元ファンクラブによると、「目撃」報告は95年18回、96年17回と90年代はほぼ年間10回以上だったが、01年からは2〜4回。

であることを鑑みると、「現実的な時代」が始まったのは、つい最近のことになる。一体何があったのだろうか?

これまでネッシー実在の有力証拠と言われたフィルム、ビデオ、写真に関しては、21世紀になってからコンピュータによる解析などによる再調査が進み、いず れも、ボートの航跡、群れをなした水鳥、ボート、流木、あるいは小さな影(巨大生物の影と思われたものが、地形や背景の調査によって巨大生物ではなく実は 小さな影であることが確認された)であることが確認された。(『外科医の写真』については前述の通り)

ネッシー(ウィキペディア)


こういうことが影響しているのだろうか。で、その「現実的な時代」とやらには、

原因としては空軍機の低空飛行や水質汚染といった推測のほか「死んだのかも」の声も。

なんて意見があるそうだ。しかし、こういうのも、ある意味「現実的」と言えば言えるのかもしれない。


「怪物」の目撃例はAD565(注:565年に目撃されたという記事が690年頃の史料にあるということらしい)にさかのぼるけれど、大衆の関心が最初に喚起されたのは1933年のことだそうだ。


過去の「神話的」な物語を、現実にあった出来事と考えるというのは割りとよくある。日本では「かぐや姫」は宇宙人だったとか、「浦島太郎」は宇宙旅行をしたのだとか。科学の時代になって、「神話」に新たな解釈が生まれることになった。これらは、真っ当な学者には受け入れられていないけれど、「神武東征説話」が実際にあった出来事を反映しているとか、「トロイア伝説」が実話を元にしているとかは、学者が大真面目に取り組んでいる課題(俺は疑っているけど)。トンデモと科学の境界は結構微妙。