崖の上のポニョと洪水伝説

しつこくポニョネタ。


老人ホームのトキばあさんが、ポニョを見て人面魚だ不吉だと怖がり、津波が来るとか言う。正確なせりふは忘れたけどそんなシーンがありましたよね。あれは洪水伝説から取っているんだと思います。


河上邦彦連載コラム 中国に見える日本文化の源流」より

 むかしむかし、この町に小さな茶店を開いて細々と暮らしている老婆がいた。ある日、その店の前をみすぼらしく元気のない書生風の男が通りかかった。 
 いまにも倒れそうなあまりにもたよりない足取りで、かわいそうに思った老婆は、彼に声をかけ、しばらく休んでいくようにといって、休ませてお茶を勧めた。そのおかげで、しばらくすると元気になり、「お礼に大事なことをお教えしましょう」と言った。「この県城の門の礎石に石亀が彫刻されているが、この石亀の眼から赤い涙が流れたら、この町が陥没して洪水になり、沈んでしまいます。だからいつも気をつけて見るように」と言い残して去っていった。信心深い老婆はそれからというもの、毎朝、門に行って石亀の眼をのぞいていた。門番の役人はこれを怪しみ、そのわけを聞いた。老婆は書生の話をした。役人はそれを聞いて笑いだし、いたずら心を出して石亀の眼に朱を塗っておいた。 翌朝、老婆が見に行くと石亀の眠から赤い涙が出ている。驚いた老婆は町中に、洪水がくると触れて回ったが、役人をはじめ、だれもあざけり笑い信じなかった。老婆一人が山の上にたどり着いたところ、地面が陥没して町に水が押し寄せてきた。

神戸山手大学


夢でお告げを聞いたとかいった類話は日本にもあるので聞いたことのある人も多いだろう。「赤色」、「信じた人だけが助かった」というのが特徴。
高麗島 - Wikipedia
瓜生島 - Wikipedia


ポニョも「赤色」ですよね。


創作童話だけど、
赤い蝋燭と人魚 - Wikipedia
というのもある。老人ホームの人達の中でトキばあさんだけが、地上に残ったのは、不吉だということを信じていたから。


でも、それがストーリー上で別に重要なことというわけでもない。ま、ネットでよく評されているように意味不明、支離滅裂なストーリーですよね。人それぞれ感じたままに見ればいいみたいな評価をしてるところもあるけれど、日本映画ってそんなんばっかりじゃね?またそれかよって感じはする。そもそも単純明快なストーリーだって受け取り方は人それぞれなんだしね。高い評価してる人には悪いけど、俺はそう思います。