お茶目な赤木さん

赤木智弘氏の最新エントリー

 それこそ「ネットで真実」の方たちは、新聞やテレビで報じられるものを「マスゴミ」と揶揄し、自分たちが【拡散】する情報こそ、マスゴミが必死になって隠す本当の真実だと思いたがっている。
 もちろん、現状のマスコミが《客観的根拠に基づく報道》だなんてはずもなく、とても堕落しているけど、だからといって、じゃあネットの真実を伝えてくれるニュースサイトは堕落していないのかと。ネットで真実と言う人達ご用達のニュースサイトは、それこそ「曖昧なソース」「露骨な印象操作」にまみれている。そして、マスゴミが金で報道を切り売りするように、ニュースサイトはアフィリエイトで金を稼いでいる(そう書いているこの文章の冒頭に『代替医療のトリック』のアフィが貼ってあるのは、ご愛嬌)。そして、お金を稼ぐために、他サイトにヘッドラインを引用されたときに、できるだけ目立たせようと、読者の目を引くヘッドラインを演出している。

深夜のシマネコBlog:『代替医療のトリック』読了


赤木氏も指摘している通り、最近「見出し」で読者の目を惹こうとする行為がエスカレートしてきているのは大いに問題があると思う。


既存メディアへの不満から、ネットに過度な期待を寄せているように思われる人を少なからず見かけるけれど、それはネットを過大評価しすぎている。ネットのジャーナリズムには、ネット特有の問題もあるけれど、既存メディアと同じ問題も抱えている。ということは前に少し書いた。
ネットのジャーナリズムに何を期待しているのか? - 国家鮟鱇

 しかし、こうした人はたいてい、それを善意の元に他人に広めようとする。否定の声はむしろ「この真実を伝えなければならない」という天啓を伴ってしまう。そして、曖昧でいい加減でせいぜい「友達の友達の知り合いがこんなことを言っていた」程度の情報を信じてそれを広めようとする。医者やマスコミという鼻持ちならない権威より、友達の友達の知り合いの方が信頼できるのだろう。もっともその人間が誰で、何をして生計を立てているかなんて、誰も知りようが無い。自分の作ったデマ話で金を儲けて高笑いしているかもしれないというのに。

言いたいことは充分わかる。しかし、気になるのはこのあとの記述。

 そしてそうした【拡散】の被害にあうのは、いつだって子供や動物といった、立場の弱い者たちだ。ホメオパシーは明らかに「子供や動物を飼っている親」をターゲットにしている。『代替医療のトリック』の中にも鮫の軟骨にガン抑制の効果があると信じ、子供をガンで殺してしまった親がいたという話が出てくるが、嘘か真か、ネトウヨの中にも子供にネトウヨレベルの知識を教え込んでいる親がいるそうだ。

 代替医療の問題は「明確なエビデンス」を持ちながら、それでもなお、インチキとしか言いようの無い代替医療が蔓延り、決して少なくない支持を得て現実に人の健康を損なっている現状を示している。ならば、すべてがケースバイケースで臨床試験などしようがない政治や社会の問題において、幼稚で暴力的な言論を排除していくことは、きわめて遠い道のりである。

子供が被害にあった。だから批判しなければならない。それはその通り。全くもって正しい。しかし、これにもまた、「それを善意の元に他人に広めようとする。否定の声はむしろ「この真実を伝えなければならない」という天啓を伴ってしまう」という要素が伴っている。


そのことについて赤木さんは気付いているのや否や。