ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』見たよ(6)

ホメオパシーの排除


ホメオパシー、排除の先に解決なし - WEBRONZA+ WEBRONZAスペシャル - WEBマガジン - 朝日新聞社(Astand)

 「正統的な科学や医学が、いかがわしい医学モドキを排除する」。これは一見、望ましい事態の進展にみえるかも知れない。だが、「疑似科学ウォッチャー」を長年してきた身としては、かなり複雑な思いで、この間の成り行きを見守ってきた。

 どこが引っかかるのかというと「排除自体は結構かもしれません。でも、排除のその先はどうするつもりなのですか?」ということなのだ。

 排除とは、・・・・・続きを読む

「続き」は金払わなければならないので読んでないんだけれど、これが番組を見る前に一番気になっていた部分。以下書き起こし。

久保田「あとですね、私の方から、ちょっと複雑な思いで、今回の、声明といいますかね、それを見てたのがあるんですけれども、いわゆる、これでほとんど日本のいわゆる学術的な会議からですね、事実上ホメオパシーが締め出されたというか、扱わないことにほとんど決まったと思うんですけども、このあとどうなるのかと、いうとですね、いわゆる、あの、排除すればそれで終るのかという、いわゆる排除すると、いわゆる自分達はもう関係ないと、今まで関係あるところも、一部ありましたけれども、関係ないですよという格好になると、そこに誰も触らない真空地帯ができるわけですよね、誰も触らないと、そうすると、ホメオパシー万歳っていう格好で、いわゆるそこで、自由の楽園が発生しやしないか、っていうのが、私は一番心配なんですけれども、唐木さんはそのあたりどのようにお考えですか」


唐木「ニセ科学を100%追放するってのは、これは菊池さんの専門ですけれども、極めて難しいところがあるんですね。どんなおかしなことでも、信じる人はいる。これを全部無くすことは難しいんですが、学術会議が最低限やらなくちゃいけないことは、こういったおかしなものを、医療の分野から排除すると、それは、最低限、これからも努力をしていこうとは思っています。そのあと残ったものについては、やはり個人で信じる人はいるだろうし、それについては、医療関係者が否定をすれば、そういったニュースは、これからも広がっていくでしょうし、そういった、いわゆるコミュニケーションで、そういったものを阻止していくしかないだろうと思っています」


俺は勝手に「文化的・社会的な側面」からの問題提起かと思っていたんだけれど、そうではなくて、ホメオパシーを学術的な会議から締め出してしまうと、野放しになってしまうのではないかという話だった。これはこれで大切なことなのかもしれないけれど、期待していたものとは違った。


その点についてはむしろ菊池誠氏の発言の方が興味深い。

やっぱりホメオパシーは、さっきの話なんですけど、その、あの、本にも書いたんですけど、その、普通の人が、ある程度、ねー、あのー、穏健に使っている分に、本当はそんな問題じゃなかったんだろうというふうに、今も思っているんですけど、ちょっとそういう状況じゃないですよね。で、そうなってしまったのは、やっぱり、そのー、さっきの第二段階に入った人の問題なんですけど、やっぱり、ちょっと、分をわきまえないで出てきているっていうところが問題だろうと、今でも思います。んー、本当は、やっぱり、なんだろうな、そのー、ホメオパシーじゃなくていいんだけど、全然なくていいんだけど、たとえばホメオパシーが残って、そのー、ちょっと風邪だから、あの、ホメオパシーくらいでもしておこうみたいなー、おまじないの一つとしてー、えーと、残りえたのかなあ、とは思うんですけど、ちょっと、もう難しいんじゃないかなあ、という気は、この事態、それはちょっと、別に、ホメオパシーを批判する側の問題じゃあ、ないと思うので、ちょっとしょうがないかなあ、という気はしています。まあ、いずれ、所詮、その、なんか、最近になって流行り出したものなのでえ、そのー、たとえば、その、えーと、昔からあるものに較べれば、その、何ていうのかなあ、まあ、とりあえず無し、って言ってもいいのかなあ、っていう、昔からあるおまじないなんかをねえ、たとえば、おまじない禁止とかしても、大変なことだと思うんですけどお、そういうものではないのでえ、んー、でも、ちょっと、どこへ着陸するのか、本来軟着陸できた問題だろうと思うんですけどねえ

要約すれば、ホメオパシーは穏健に使っている分にはそんな問題じゃなかっただろう」とか、「昔からあるものと較べれば無くなってもいいんじゃないか」とか「本来軟着陸できた問題だろう」とか言っている。


俺の意見も大体そんな感じ。菊池先生とは意外なほど気が合う。菊池氏は番組の最初の方で、人は何かしら非科学的なものを必要としているみたいな趣旨のことも言ってたし。菊池氏はその手のものを、「無くすことができるなら無くしたほうがいいけれど無くすことができないもの」というような科学を中心に考える人にありがちな評価よりも、どちらかというと肯定的に評価しているような印象がある。


しかし、これもまた「ニセ科学批判」をしている人達が果たしてそう考えているんだろうか、そうは考えていない人も相当いるんじゃないかと俺は思う。