ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』見たよ(4)

ホメオパシーは自然な療法か?


以下書き起こし

荻上ホメオパシーがなかなかこれだけ話題になっているのは、まあ、基礎科学的な問題点がそれだけ、クリアだっていうことだけでなくて、その社会的な問題点というんでしょうかねえ、やはりその、これだけ、西洋で受け入れられててというようなことがアナウンスされますし、また日本でも、その実際に、ロールモデルとなるような、タレントの人とか、女優の人とかが、効くんだとアピールをしたりして、そのー、それなりに、そのー、ロハスブームとかエコブームとか、何となくその自然に、自然っていいよねみたいな、信仰の中で、もっとも自然な治癒がホメオパシーなんじゃね、みたいな、感覚で結び付いていて、結構、その、社会的な問題点というのは、鍼灸みたいに、そのみんなの知識が体感的にないが故に、なんか別のレベルで浸透してしまっている部分が、あるような気がするんですけどね」


菊池「ホメオパシーは、多分、ホメオパシーが自然だからいいっていうのは、多分ニューエイジ以降のリバイバルの時の新しい受け止め方で、えっと、元々ホメオパシーは、全然自然ではないはずなんですよ。つまり、えーっと、自然の対極にあったものだということで、多分、欧米でも、多分ね、そのボクもあまりよくわかんないんだけど、ニューエイジ以降リバイバルしていて、で、そのときに多分、その自然という概念が入ってきたんだと思うんですけど、ハーネマンの時代には全然自然ではなくて、あのー、むしろ、なんていうんですかね、あのー、今で言う、実証科学、科学、全然自然じゃないものとして出てきたと思われるんですけど」


荻上「ただ、やっぱ、この現代的なムーブメントというかブームの中には、そういった、自然信仰だとか、あるいは今、パワースポットってなぜか流行ったりしてまして、何でかよくわからないんですけど、そういうなんかこう神秘的なものに憬れるような文化、そのニューレフト文化以降の、土壌みたいなものが、まあ、一つの吸収源になっているという形なんですかねえ」


菊池誠先生もホメオパシーが自然だということを疑問視してるんだけれども、俺もその点に疑問を持っている。
ホメオパシーと西洋医学と東洋医学 - 国家鮟鱇


たとえば、イギリスでホメオパシーが受け入れられている理由は「自然な療法」だからなのかというと、そうじゃないのではないかという気がしてならない。それよりも、近代医学が未熟だったときの記憶が残っていて、伝統的にホメオパシーが信頼されてきたという面が大きいのではないかと思う。


※日本においては明治維新というものが、前近代的なもの(蘭方を含む)と近代以降のものを分断している側面があるので、ある程度発達していた近代医学がすんなりと受け入れられたということがあるんじゃないだろうか。


日本学術会議副会長の唐木英明氏も電話でこう話している。以下書き起こし

ホメオパシーについては200年前に生まれた。200年前という時代が大事で、この頃は医療の暗黒時代で、正しい医療法、現代的な治療法はなかった。当時一番流行っていたのが瀉血といって血液出しちゃうんですね。体の中の悪いものが一緒に出ると、あるいは砒素とか水銀を飲ませて嘔吐させたり下痢させたりすると、そうすると悪いものが出ると、こんな苦しい治療法しかなかった。そこでホメオパシーがでてきたら、ホメオパシーって楽なんですよね、ただの砂糖玉ですから、これが大変に広がったという、そういう背景があるんですね。


もちろん欧米でも「自然な療法」として受け入れている人もいるんだろうけれど。そして、日本で最近ホメオパシーが多少流行りだしたのは、やはり「自然な療法」としてなんだろうと思う。


で、前にも書いたように、日本でホメオパシーが浸透するのを防ぐためには、それが疑似科学だということを訴えるのも必要なことだけれども、ホメオパシーが自然な療法として始まったわけではないということを説明するのも有効だろうと思うわけ。こっちのほうが遥かに有効だという場合だってあるだろうと。


それをするためには、まず、ホメオパシーが欧米でどのように受け入れられているのかを確かめなければならない。しかし、それについての日本語情報は少ない。自力で調べようにも言語の壁がある。そこんところをもっと掘り下げてみる必要があるんじゃないかと俺は思う。