久しぶりにホメオパシーの話でも

最近、ニセ科学批判運動界隈にはとんと興味がなくなっていた。というのも、今やこの運動はネットの片隅で細々と行なわれているだけであり、広がりを見せる気配がないからだ。よって、どうでもいいことになりつつある。


そんなわけで最近の動向にも疎いわけだが、ホメオパシーについては多少知っている。といっても、
WEBRONZA+(ウェブロンザプラス)科学・環境 - WEBマガジン - 朝日新聞社(Astand
を引用するだけだが。

荻上 類似の症状をひきおこす物質を薄くして飲ませることで、自然治癒力を引き出す、という説明ですね。約200年前にドイツの医師・ハーネマンが考案したということで、かなり歴史ある代替医療です。それだけ希釈して薄くすると、もともとの分子が残らないという指摘が当然されるわけですが、それに対しては、水がそうした希釈の記憶を保有しているので、何かしらの効果を発揮するんだという説明をしていますね。

菊池 それはモダンな説明ですね。ハーネマンの時代には、まだ分子の概念がありませんでした。ですから、どこまででも希釈できると思われていた。今みたいに、原子や分子が実在していることが明らかになると、原理的に希釈の限界があることが分かるわけです。そこで、モダンな説明では、「分子はないけど、水が記憶する」みたいな説明をする。

ということは、つまりホメオパシー肯定派は「分子の概念を否定しなかった」ということになろう。すなわち、肯定派も否定派も「分子の概念を認める」という点では一致しているわけで、さらに、どんどん希釈すれば分子が残らないという点でも一致しているわけですね。


そして肯定派はそれを認めていながら、なぜそれでもホメオパシーを肯定するのかといえば「分子はないけど、水が記憶する」という現代科学では認められていないことを頼りにしているということになる。


で、なぜこんなことを今更書いたかといえば、
続・NATROM氏は「ホメオパシー」の夢をみるか? - Togetter
を見たら

@yunishio 「低ポーテンシーレメディは原料物質の分子が残っているから効力がある可能性は否定できない」とホメオパスに主張されたらどう反論しますか?1ベクレルで鼻血が起きる可能性と同じくらいはありそうですよ。>原料物質の分子すら残っておらず理論的に誤りが証明されています
NATROM 2013-07-27 20:01:24

なんてことが書いてあったから。「原料物質の分子が残っているから効力がある」と主張するのは、果たしてホメオパスと呼べるのだろうか?


もちろん言葉の定義などは変化していくものだから、そういう主張をする人をホメオパスとは呼べないということにはならないかもしれない。しかし、それは現在の主流の考え方では無いと思われ。


さて、元の記事に戻って

久保田 代替医療って、そもそも代替してないだろっていう話がありますからね。

 ホメオパシーの問題について考えるときには、いろいろな次元でのとらえ方が可能です。とりあえず大きく分けると、「基礎科学的問題点(理念的批判)」と「臨床的批判(実証的批判)」「社会的問題点」に分けられます。

 「基礎科学的問題点(理念的批判)」は、原理的な判断です。ホメオパシーで言えば、1個も分子が残っていないのに、効くわけない、水の記憶なんか全く証明されてないという批判ですね。二つめの「臨床的批判(実証的批判)」は、本当に効くかどうか実際に実験をしてみてチェックしてみてどうか、ということです。

荻上 よく、ニセ科学の問題では、「今の科学では解明できないだけ。科学者は頭ごなしに否定している頭でっかちな連中。実際に効いているんだから、(原理が解明されてなくとも)その効果は認めなくてはならない」と言われますが、理論と臨床という二つを分けたうえで、臨床的に効果があるかどうかを検証するということですね。

久保田 そうです。原理はともかく、「効くかどうかやってみよう」っていうことですよね。

菊池 全てのニセ科学問題は基本的にはそれでいいんです。ただし、ホメオパシーは、他の代替医療に比べて、基礎科学の部分があまりにも飛び抜けて特異なんです。他の代替医療なら、原理的に不透明な部分があるものが多いのに対して、ホメオパシーは基礎的な物質科学のレベルで否定できますから。その上でさらに、臨床的にチェックされているっていうのがすごく重要です。もちろん、代替医療の類のほとんどは、本当は物質科学的な考察よりも臨床のほうが重要なはずです。

ホメオパシーと漢方・鍼灸との違いはこの「基礎科学的問題点(理念的批判)」にあるホメオパシーは分子が一個も無いのだから効果があるはずがない。万一実験で効果が確認されたとしたら、現代科学においては砂糖玉に効果があるか、希釈が不十分で分子が残っているとしか考えられない。しかしそれではホメオパシーではない。分子が一個も無いのに効果があるのだとしたら現代の科学では説明不可能であり、現代科学が根底から覆される。


一方、漢方や鍼灸の場合は病気に効くとかいった効果が無いとしても、物質を投与したり身体に刺激を与えたりしているのだから、微弱であろうと何らかの作用があることは間違いない。現在効果が無いと考えられているものが将来効果があることが確認されたとしても、科学を部分的に修正すればよいだけであり、科学理論が根本から覆るわけではない。


既に何度も書いたことだが、ホメオパシーと他の代替医療の根本的な違いはここにある。これを、菊池誠氏は、漢方や鍼灸には効果のあるものもあるからホメオパシーとは違うと言っていると捉えたがる人が多いように思うのだが、もっと根本的なところで違うと言っているのだ。


そんで「化学物質過敏症」についてだけど、俺は無知かつ殆ど関心がないので、あまり口を挟めない。ただし、漢方や鍼灸ホメオパシーの違いと同様に、化学物質による作用は現代科学で説明できる可能性があるけれど、ホメオパシーはそうではないとは言えるだろう。


すなわち「基礎科学的問題点(理念的批判)」の点で両者は決定的な違いがあるということだ。


yunishio氏が重点を置いているのはその点であり、そこにNATROM氏は「臨床的批判(実証的批判)」を重視した批判をしていると思われるが、それだけでは話が噛み合うことはないと思われ。