仁藤敦史氏の陰謀史観批判

「女帝」についてネットで調べてたら『女帝の世紀―皇位継承と政争』 (仁藤敦史 角川選書)という本がGoogle ブックスにあった。


第一章の一が藤原陰謀史観皇位継承への収斂」というタイトルで

しかし、その内実は国家的課題や政策論が議論されることはあまりなく、皇位継承上の対立グループや政治権力の奪取という視角に問題が矮小化されることが多かったといわざるをえない。

これは道長・頼道の栄華からさかのぼって、中臣鎌足大化改新への関与を起点とする政争史レベルのきわめて予定調和的な解釈といわざるをえない。

政治史の論文には、かなり蓋然性の高い推測もあるが、思いつき的な説も多々存在する。

等々、大いに同意できる。


だからといって仁藤氏の女帝論に同意できるかというのはまた別の話だ(というかまだそこまで見てない)。


しかし第一段階として陰謀史観から脱却して、そこからさらに研究を積み重ねていく必要があるわけで、だけど実情は古代史研究(に限らず日本史全般)は未だ陰謀史観にズブズブにはまっているというのが俺の認識。