古文書の解読(その4)

北条氏康文書の解釈に対する疑問は何と言っても「駿州無(被)相談」にある。「織田信秀今川義元の相談」という意味だとすれば、なぜそんなことを手紙に書いたのか俺には意図がさっぱりわからないのだ。


「○○に相談しないで」というのは現代では主に非難の時に使用するものだろう。しかしこれは信秀を非難する文書ではない。中世では違ったのだろうか?


「事実だから書いたまでだ」ということなのかもしれないが、しかし事実を逐一書くなら他にも書くべきことはあるのではないか?「無相談」と書くからにはそれなりに書く必要があったはずだ。でもそれがわからない。


「相談して」だとなお更不可解だ。松平広忠は今川の支援によって岡崎城に入ることができた。今川とは良好でなおかつ広忠が今川を頼っているという関係だ。信秀が相談したところでOKと言うとは到底考えられない。


ゆえに三河を攻撃するのは「相談しないで」になるのは当たり前のことだろう。当たり前のことをなぜわざわざ手紙に書くのか?


いろいろ可能性を探ればあるいは説得力のある理由が見つかるかもしれない。


しかし印象としては「織田信秀今川義元の相談」という意味で読めば、不可解だとしかいいようがない。