中国の寺院壁画修復の謎

中国、清朝時代の壁画で「修復の悲劇」

俺は何でも疑う性質だからこれも疑っちゃうんだけれど。


そもそも仏教美術にはカラフルなものが多い。だからカラフルだってだけで元の絵と違うというのはどうなんだって疑問がある。日本でも修復するために調査したら実はカラフルだったという例はあったと記憶してる。あと仏教じゃないけどミケランジェロシスティーナ礼拝堂天井画修復。あれも汚れを落としただけでなく絵の具まで落としちゃったんじゃないかなんて言われた。


とはいえ「修復前」と「修復後」では絵柄が全然違う。特に顔は修復前は繊細に描かれているのに修復後はのっぺりとしている。


だが、ここで一つの疑問が。


この壁画は清王朝時代の壁画だという。

清(しん)は、清朝(しんちょう)、清国(しんこく)ともいい、1636年に満洲において建国され、1644年から1912年まで中国を支配した最後の統一王朝である。

清 - Wikipedia
300年近い時代のいつに描かれたものなのかわからないが、今から最長で369年前、最短で101年前に描かれたことになる。


AFPの記事には

修復作業が行われたのは、270年以上前に建立された朝陽市の雲接寺(Yunjie temple)に残されていた繊細な壁画。老朽化でその状態は良くなかったが、それでも「保存」はされていた。

寺院で修復の壁画、「漫画のよう」と批判相次ぐ 中国 写真11枚 国際ニュース:AFPBB News
とあるけれど壁画が寺院建立と同時に作られたのかわからないから特定できない。


しかし仮に最長の369年前だとしてもボロボロすぎないか?いや俺は壁画についてド素人だからわからないんだけど。まあ絵の具の材料や環境にもよるだろうけど。
(確かに神社に奉納されている屋外にある絵馬とかはボロボロになってるけど)


ところで雲接寺は現代は「云接寺」と表記する。それで検索してみると、
凤凰山《云接寺》壁画。 - 朝阳佛教文化 - 朝阳在线-龙城部落 - Powered by Discuz!
という記事がある。そこの画像を見ると「修復前」の壁画とされているものとはだいぶ異なる。特に顔などはむしろ「修復後」の方に近い。ただし色彩は「修復後」とはかなり異なるが…
(別の云接寺の可能性もあるんで確認したが「凤凰山云接寺」で合ってる)


これは一体どういうことだろうか?修復したら元の壁画とは違うものになってしまったということに関しては事実であろう。だが「修復前」として出回っている画像は本当に雲接寺の壁画なんだろうか?


もちろん、この画像で正しいのかもしれない。AFPが載せているし。だが怪しい感じがしないでもない。最初に書いたように俺は何でも疑う性質だからそんなことを思ってしまうのである。