「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」という問題

この手の話はよくきるけれど同意できない。


「誰が言ったか」というのは非常に重要なことだ


どうして、こんな主張が支持されるんだろう?


おそらくはネットには匿名の言説が溢れかえっている。それを匿名だからといって価値の無いものだとする。というような文脈の中で、「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」だというようなことが主張されて支持されるんだろう。


だが、「価値がない(ゼロである)」の反対は「価値がある」であって「何を言ったかが重要だ」ではないのだ。


「匿名」であっても「誰かが言った」ことには違いないのだ。その「誰か」が「匿名だ」ということであって「匿名=0」ではないのだ。


つまり重要なのは「誰が言ったか」×「何を言ったか」ということになる。


たとえば医療に関する話で医者が言うのと素人が言うのでは同じことを言っていても重みは全く違う。医者が言うのなら「まあ信じられるだろう」と思うけれど、同じことであっても素人が言っているのならもっともらしく聞こえても確かめてみなければ不安になるだろう。当然のことだ。


したがって実名であれば良いという話ではなくて、実名であっても医学の素人が発言したのな、匿名と比較しても大して差があるわけではない。何に関しての誰の発言かということが大事なのだ。


無論、専門家だからといって正しいことを言っているとは限らない。だから「何を言ったか」も重要だ。匿名の方が専門家より正しいことを言っているかもしれない。だからといって「誰が言ったのか」ということを考える必要がないということではない。専門家の方が正しいことを言ってる確率の方が高いのだ。だから専門化が言っているからといって完全に鵜呑みにするべきではないし、匿名が正しいと思われるようなことを言っているとしても、それが本当に正しいかをより慎重に検討するべきなのは当然だろう。


そんなことはほとんどの人が理解していて、なおかつ実践していることのはずだ。しかし何かしらの特殊な状況のもとではそれが理解できなくなってしまうように思われる。