2008-08-15から1日間の記事一覧

天智天皇暗殺説について考える(4)

「扶桑略記」の記事には、一つ気になるところがある。それは、なぜ「沓(くつ)」なのかということ。もちろん天皇が暗殺された際に沓が脱げて、殺人事件の証拠が残ったなんて話をしたいわけではない。 天智は神仙になった。それは良い。だが、なんで沓だけが…

天智天皇暗殺説について考える(3)

と、ここまで書いてきて何だが、実のところ、遠山美都男氏の『天智天皇』を読んでいないので、俺の考えと歴史学者の考えが、どのくらい一致しているのか少し不明なところがある。だから「大筋で」とした。 上で記した解説には「尸解(しかい)」という言葉が…

天智天皇暗殺説について考える(2)

井沢元彦氏は『扶桑略記』の記事を「事実」とみなし、考えられる可能性は「事故」か「暗殺」しかないと断定した。確かに「事実」であるのならば、出かけたまま帰ってこなければ、そういうことになるだろう。そして、沓だけあって死体がないのであれば、それ…

天智天皇暗殺説について考える(1)

『逆説の日本史』で井沢元彦氏は天智天皇暗殺説を唱えている。天智暗殺説自体は前からあったらしく(「逆説」によると郷土史家の山田万吉郎氏が嚆矢だという)、有名なのは井沢説だろう。 概略を書くと、『扶桑略記』という史料の天皇崩御の記事に「一云 天…