都知事選について(1)

終わってみれば石原氏の圧勝だったわけだが、そりゃそうだよなと思う。そんなの告示前からわかっていた。
わかっていたのだが、なんか最初のほうのマスコミの調査では接戦みたいな印象の記事があったよね。

例えば、
ZAKZAK - 慎太郎危機感…浅野氏、エリート官僚出身の悪弊も
とか、
石原氏一歩リード 追う浅野氏 都知事選本紙世論調査(東京新聞)
とか。


あれっ?て印象を持ったんだけど、一体何だったのだろうか?

都知事選について(2)

それはともかく「勝因は何か」ってことだけど、浅野陣営のダメさ加減については、いっぱい列記することができるけど、そんなことより何より、なんだかんだ言って「現職は強い」っていうのが最大の勝因でしょうね。


<知事選>現職が9都道県で全員当選(毎日新聞)


まあ、国民の多数は保守主義だってことです。この場合の保守主義っていうのは政治思想の保守主義じゃなくて、「自然的保守主義」っていう意味なんで保守系候補・革新系候補を問わずということだけど。大規模な汚職事件があったとか、余程のことがなけりゃ現職のほうが強いでしょう(調べたわけじゃないけど)。


というわけで、かなり左翼色が強かった浅野氏でなくて、民主党がもっと中間色の独自候補を立てたとしても、勝つのは難しかったでしょうね。というか自民党も独自候補を擁立することができないのが現状なわけで。石原都知事に対抗するには小泉純一郎が出馬して勝てるかどうかってところじゃなかろうか。で、民主党はそもそも本気で都知事選に勝つつもりがあったのかは大いに疑問。やる気があったにしては、候補者選びがごたごたしすぎ。どうせ勝てるわけがないので、形だけやっとこうと思っていたんじゃなかろうか?小宮山洋子とか海江田万里で勝てると思うのは甘すぎるし。菅直人擁立も勝つためというより何か党内派閥抗争っぽいし。で、浅野史郎が無所属で立候補して、民主は支援するということで、一応体裁は整ったわけだけど、浅野氏の応援で目立ったのは、いわゆる「市民」の皆様方であって、民主党がどこまで本気だったのか疑問。

都知事選について(3)

俺は石原支持者というわけじゃなくて、代わりがいるなら別にそれでも構わないんだけど(それ以前に都民でないけど)、浅野氏とその応援団を見ていると背筋が寒くなる。石原都政は恐怖政治とか言っていたそうだけど、浅野陣営の一連の勇ましい主張を目にすると、むしろ恐怖政治というレッテルは浅野都政こそ、それに相応しいものになるのではないかと思ってしまう。彼らは「正義の人」だから、自分たちはそんなことは絶対にしないと純粋に思っているのだろうけれど、正義感の強い人ほど怖いってこともあるよね。というわけで、個人的には彼らに単なる政策での支持・不支持以上の気持ち悪さを感じる。実際のところは、浅野氏が知事になったからといって、恐怖政治はしない(できない)だろうけどね(石原都知事だってやりたいことを何でもやってるわけじゃなかろうし)。


俺はそう思うんだけど、浅野氏は大差で負けたとはいえ170万票も集めた。上で「現職は強い」って書いたけど、それと同じで、最大の対立候補もそれなりに票を集めることができるってことだろう。なんか怖いなと思ったけど、泡沫候補に毛が生えた程度の候補者が、石原批判票の大半を上乗せしただけで、どうせ勝つ見込みはなかったと考えればそれほど怖くないか。

都知事選について(4)

で、浅野史郎だけど、彼は本気で勝つつもりがあったのか?本当にやる気があったのか?実は誰かと同じで「私が当選したら私もビビる」だったのではないのか?なんか不可解。


俺は浅野史郎の政治信条については良く知らないけど、応援団の面子を見ていたら、ただでさえ苦戦が予想されるのに、ますます勝ち目がなくなって、何はともあれ石原慎太郎都知事の座から引き摺り下ろすという目標の実現可能性が低くなるということがわからないほど馬鹿ではないと思う(常識的に考えてそうだろ)。


石原都知事が自身でどう思っているかはともかく、世間では右、それもかなり右であると認識されているのは間違いのないところであるから、中間、あるいはやや右あたりまでを取り込むことを考えれば、少しは勝機があるものを、偏り具合では石原都知事に負けていないというか、それ以上であるかのような印象を持たれて勝てるはずがない。なんか、やる気がないのに、何らかのしがらみがあって、仕方なく出馬して、一応表面上はヤル気があるように装っているけど、選挙運動は応援団任せみたいな印象(あくまで印象)。


まあ、「市民」の皆様におかれましては、己の思想信条を公にアピールするチャンスが与えられたわけで、それはそれで自己満足できたのかもしれない(ネットでは外山候補に食われてしまった感があるけど)。