日本史のプロの書いた本を比較する(山内一豊編その2)

上に書いたことの続き。長くなったので分割した。
これも同じく牧村政倫に仕えていた頃のエピソード。


検証・山内一豊伝説「内助の功」と「大出世」の虚実 渡部淳 講談社現代新書

また、ある日、牧村氏が家臣萩原市介の不届きに対して、上意討ちを命じたことがあった。これを遠山と羽田という家臣に命じているのを耳にした一豊は、翌日、単独で萩原氏のもとに赴き、一豊を子供とみて油断した萩原を討ち取ったという話も伝わっている。遠山と羽田は面目を失い、一豊の抜け駆けを主君牧村氏へ訴え出たが、これに対し牧村氏は、一豊が寝入ったものと思い重大な使命をその傍で話した自分の非を両人に詫び、一豊に対しては蟄居を命じた。しかし間もなく、一豊は遠山・羽田両人のとりなしもあって許されたというのである。(P34)


山内一豊 負け組からの立身出世学 小和田哲男 PHP新書

しかし、遠山・羽田の二人は萩原市介を斬れないでいた。そこに、様子をみるべく遣わされた一豊が到着し、闘っている二人に加勢し、萩原の背後から斬りつけ、首を取ることができたという。
しかも、政倫のもとにもどった一豊は、「遠山・羽田の二人が立派に仕留めました」と報告したわけであるが、二人が正直に一豊の助太刀があったことを政倫にいったため、政倫は、一豊の勇気と謙虚さに感心したと伝えている。(P58)

渡部本では一豊は「抜け駆け」をして、人の武功を奪ったことになっている。小和田本では「助太刀」して、しかも武功を誇らない謙虚な男。


全然違うやん!!あまりにも違うんで出典が違う可能性もあるが(多分同じ)、そんなことは、本を読んでもまったくわからない。