左右非対称

上で書いたことと矛盾するけど。


例えば、今は冬だから、多くの人は長袖の服を着ている。逆に夏には半袖になる。しかし、必ずしもそうだとは限らない。夏でも長袖の人もいるし、冬でも半袖で押し通す人もいる。理由はいろいろあるだろうが、ここでは、半袖がかっこいい、長袖がかっこいいという信念を貫いている人として見てほしい。服の機能よりも見栄えにこだわる人達ということにする。一方、多くの人は、いくらお気に入りの半袖シャツがあろうと、冬は長袖のシャツを着る。理由は周囲から奇異に見られるということもあるだろうが、最大の理由はそれが快適だからだ。


冬に半袖を着ていれば目立つ。一方長袖を着ている人は目立たない。だが、見た目では区別できないが、その中には夏でも長袖を着る人が含まれている。その長袖派の人が、「私は半年前から長袖を着ていた。今やっと私の長袖主義が世間に認められた」などと言い、さらに長袖派のリーダーを自認したりするのは滑稽であろう。まあ、マスコミがもてはやしたりして、それに乗っかる人もいるかもしれないけれど、多くの人は真相を薄々気付いていて、だからといってムキになって否定することもせず(半袖派は怒り狂うかもしれないが)、それなりに長袖については薀蓄のある人だと思うから、適度に利用して、そして季節は移り変わっていくのだろうと思う。


ところで、この場合、半袖派と長袖派を対立軸にすると、「夏には半袖、冬には長袖」の人はどこに位置するのだろうか?半袖派でも長袖派でもないから中間ということになるんだろうか?何か違うような気がする。理論上は中間なんだから「夏には長袖、冬には半袖」という人もいることになると思うが、そんな人は余程の変人だろう。ということは、「夏には半袖、冬には長袖」は、それ自体が、一つの派閥であるということになる。この人達は、「快適な生活をしたい人達」である。そして長袖派・半袖派は「快適さよりも見栄えを重視する人達」であって、一見すると対立しているように見え、実際対立しているのであるが、実はそっくりさんであるということになる。


だから対立軸としてふさわしいのは、「長袖派と半袖派」ではなくて、「見栄え重視派と快適さ重視派」である。そしてこの対立軸の中間には「多少快適さを損ねても見栄えを重んじたい」「多少見栄えを損ねても快適さを重んじたい」という人が位置することになる。こうすれば、ほとんどの人をどこかに位置づけることができる。「長袖派と半袖派」は左隅でお互いに対立していればよろしい。


で、これを政治思想に変換すれば、絶対的な理念を掲げる「革新左翼」と「革新右翼」は両方とも左に位置してもらって、伝統・慣習を重んじる「保守主義」を右端に位置付ければ、話はすごくすっきりすると思うんだけど、まあこんなこといっても無理っぽいけどね。