迹見首赤檮 (その4)

「迹見首赤檮(その3)」の続き。


物部守屋を射落としたとされる迹見首赤檮(とみのおびといちい)と、扇を射落とした那須与一の話は同系統の話であると俺は考える。


ところで、那須与一の射落とした扇は、

みな紅の扇の日いだし【出し】たる

平家物語・龍谷大学本・全巻
ものであった。つまり、「赤地に日の丸」ということだ。


すなわち、これは「太陽を射る話」である。


China ABC----第十六章:民間物語 :後羿、太陽を射る

太古の時代、空には十個の太陽が同時に昇り、その強い日差しは大地を焼き焦がし、畑の作物は枯れ、人々は暑さのために息もできず、次々と気絶して倒れていった。また沢山の妖怪や猛獣たちも、枯れた湖や蒸し暑い森林から現れ、人々に害を与えていた。

 人類がこの災難を受けたことは天帝を驚かせ、天帝は弓の神である後羿に下界に降りて、人々をこの災いから救うように命じた。後羿は天帝から授けられた赤い弓と一筒の白い矢を持って、美しい妻の嫦娥と共に人間世界へとやって来た。

ここに、「赤い弓と一筒の白い矢」とある。これが偶然のわけがない。「白膠木と赤檮」がここに源流を持っていると考えてまず間違いない。


このことは既に誰か指摘しているのだろうか?俺は知らないが。


ちなみにこう考えると物部守屋は太陽である。少なくとも太陽の属性を持っていると考えるべきである。


さて、話はこれで終わりではない。これをさらに考察すると、まだまだとてつもないことを思いつくのである。


(追記 1/17 17:00)

天帝赐给羿一张红色的弓,十支白色的箭。

羿_百度百科


また、「中国的こころ」というサイトによると、羿についての4つの伝説があり、その1つに、

舜のときの諸侯であり、貪欲で飽くことを知らない伯封を后羿が滅ぼした。 さらに舜の命で、赤い弓と白い射ぐるみを賜って、下の国を討ったという。

とある。また、

黄河の支流である洛水の女神である洛嬪(らくひん)を妻とする。洛嬪に恋した后羿(こうげい)により左目を射抜かれた。

河伯 - Wikipedia
という伝説もある。これは重要。


(追記1/18)
なお俺はこの(その4)の記事を書く直前まで「太陽を射る話」に「赤と白」という要素があることを知らなかった。赤檮や与一の伝説と「太陽を射る話」に似た要素があるということのみを書くつもりでいたところ、上の後羿の伝説に「赤い弓と一筒の白い矢」とあって、非常に驚いたのであった。