迹見首赤檮 (その3)

「迹見首赤檮(その2)」の続き。


物部守屋を射落としたとされる迹見首赤檮(とみのおびといちい)。この話にそっくりな、そして有名な話とは、平家物語』の那須与一が扇の的を射落とした逸話

おきには平家船を一面にならべて見物す。陸には源氏くつばみをならべて是を見る。いづれいづれも晴ならずといふ事ぞなき。与一目をふさいで、「南無八幡大菩薩、我国の神明、日光権現宇都宮、那須のゆぜん大明神、願くはあの扇のまなか【真ん中】ゐ【射】させてたばせ給へ。是をゐ【射】そんずる物ならば、弓きりおり【折り】自害して、人に二たび【二度】面をむかふ【向ふ】べからず。いま一度本国へむかへ【向へ】んとおぼしめさ【思し召さ】ば、この矢はづさ【外さ】せ給ふな」と、心のうちに祈念して、

平家物語・龍谷大学本・全巻(J−TEXTS 日本文学電子図書館)を編集。


源義経に扇の的を射よと命じられた那須与一は、神仏に祈った後に扇を見事に射落としたのであった。


注目すべきはもちろん那須与一」の「一(いち)」である。あと「源氏の白旗、平氏赤旗」と、ここでも赤と白の対比があることにも注意を払うべきかもしれない。


俺はこれがとても偶然だとは思えない。


そして偶然ではないとすると、さらにとてつもないことが思い浮かぶのである。


(つづく)