中道左派?

山田厚史という人は元朝日新聞編集委員なんだそうだ。
中道左派=リベラル退潮の理由 溝埋められぬ旧左翼と市民運動|山田厚史の「世界かわら版」|ダイヤモンド・オンライン

 自民圧勝の総選挙は「中道左派=リベラル」の退潮を印象付けた。米国でオバマ大統領を支えたのはリベラルであり、フランスのオランド大統領は社会党だ。格差を生み出すグローバル市場主義に平等志向で対峙する中道左派はなぜ日本で支持を得られないのか。

 答えは明白だ。旧左翼と市民運動の間に「深い溝」がある。越えようとする覚悟がない。組織防衛が先に立ち「妥協」を拒む。負け癖がついて敗北に危機感が伴わない。

まず、彼らを「中道左派」と呼ぶ事に強烈な違和感がある。

中道左派(ちゅうどうさは、英語:Centre-left)とは、政党あるいは政党グループの分類。穏健な左派のこと。

中道左派 - Wikipedia


「脱原発」に不賛成なら「非国民」?(深沢明人) - BLOGOS(ブロゴス)
で紹介されているような主張は「穏健」とは程遠い。彼らはロベスピエールスターリンヒトラーポルポトになる素質を持った者達である。共産主義じゃないから「中道左派」ということだろうか?物は言いようである。


彼らは退潮しているのではない。ようやく実態を反映した姿になりつつあるだけだ。


俺が子供の頃には社会党野党第一党だった。なぜ社会主義政党が第一党だったかといえば、その政策が支持されていたというよりも、与党の自民党に対抗する勢力として支持されていた。いつからそうなのかはよくわからないが80年代には既にそうだった。


自民党が独走するのは危険だ。自民党を勝たせすぎてはいけないというバランス感覚が社会党を第一党の座に長らく居座らせることになった。彼らが何を言っているかなど重要ではない。どうせ与党にはならないのだから。そんな感じだったから社会党全体主義に繋がる危険な分子があっても気にすることもなかった。


だが、土井ブームを境に社会党は凋落し、新党ブームが起きて選択肢が増え、自民の独走を抑えるための機能は社会党でなくても良くなった。中身は何でも良かったという状態から、中身を吟味して選ぼうということになった。こうして現実離れしていた社会党は坂を転げ落ちるように凋落の一途をたどることになった。社会党イデオロギーで支持できる人だけが社会党を支持するという流れになれば、政策で支持されていたわけではなく、対抗勢力として支持していた部分が離れていって凋落するのは当然である。


だが依然として新党ではなく社会党に対抗勢力として期待する人も残っているわけで、さらに社会党が分裂しても旧社会党勢力にそのような期待を持ち続けていた人がいた。そのために彼らは実態以上に支持を集めていたのだ。その部分が時が経つに連れて世代交代や、他党に乗り換える人が出てくることによって徐々に離れていってコアな部分だけが残ることになれば、その実態は微々たるものであるから、極めて微小な勢力になるのは当然である。


今起きていることは、山田氏のいう「中道左派」が凋落しているというよりも、とっくの昔に凋落していたものが、やっと実状に合致してきたということである。だがまだその流れが終ったわけではない。これからもしばらく続くであろう。


なお山田氏が主張するような「結集」はその流れを加速することになるだろうから大歓迎である。実際「未来の党」自体がその結集の一つであったわけだし。