「保守主義」とは何か

俺は保守だと自認しているけれど、実のところ保守とは何かということに詳しくはない。というのも日本には保守主義のまともな解説書が非常に少ないからだ。


俺の保守に関する知識は、ここでしばしば取り上げるロバート・ニスベット『保守主義―夢と現実』(昭和堂)に殆ど依存している。その他から得る断片的な情報から鑑みて、これが日本語で読むことのできる中で一番信頼できる保守思想の解説書だと考えて間違いないだろう。
ロバート・ニスベット - Wikipedia


ニスベットの保守主義は「新保守主義ネオコンではない)」と呼ばれるものだ。ただし現在では「新」が取れて単に「保守主義」と呼ばれる。「新」といっても新しい考えというわけではなくて、バークをはじめとした「保守」の思想を理論的にまとめたものだ。なお、バークは自身で「保守」と名乗ったことはなく、その他多くの「保守」の思想家も「保守」を自称していない、どころか積極的に「保守」と呼ばれることを拒否した人までいる。


日本において「右翼」といえば街宣右翼を連想するように、アメリカなどでは「保守」に良いイメージは無かった。アメリカは「革命」によってできた国であるからし反革命的なニュアンスがあったのだろうか。また宗教保守のような原理主義的で政治哲学の「保守」とは相反する思想も「保守」と呼ばれるということもあったのではないか。


新保守主義」は1960年代に出現し、1980年代にレーガン保守主義者であることを宣言することによって一般化した(もちろんそれ以前にも自称はしていなくても保守主義者は存在した)。これが現在一般的に言われるところの「保守主義」であろう。もちろん新しい思想というわけではなく過去の「保守」の思想をまとめたものなので「新保守主義」の著作を一冊も読んでなくても保守主義を理解することは可能だ。ただ反革命的、反進歩主義的思想であれば保守とみなされるケースもあるので、その場合はズレが生じることになるだろう。