「保守」とは何か?

俺は自称保守主義者である。この場合の保守主義とは何かといえば、少し前までは「新保守主義」と呼ばれたものであり80年代頃から台頭してきたものだ。ウィキペディアによれば「英語においてはすでにレーガンサッチャー時代の保守主義が主流になっている」そうで、今では「新保守主義」とは呼ばず普通に「保守主義」と呼ぶらしい。


ただし、この「新保守主義」とは何かというのが結構ややこしい。俺の保守の理解は『保守主義 ― 夢と現実』(ロバート・ニスベット)によるところが多く、それを「新保守主義」だと思っており、ニスベットは本の訳者あとがきにあるように『一般にはいわゆる「新保守主義者」のグループのひとりとみなされている』とも書かれている。ところが本を読むとどうも彼自身は「伝統的保守主義者」だと考えているように思われる(はっきり書いてないし、自信があるわけではないが)。


そしてたとえば

新しい(ニュー)保守主義(New-Conservatism 新左翼と伝統的保守主義の双方に対抗するニューライトや宗教的右派の立場)と新(ネオ)保守主義(前述のように右傾化したリベラリズムを指す。ネオ・リベラリズムとも呼ばれる。)という二つの保守主義は、

と書いて「新保守主義」にも「ネオコン」にも距離を置いているように思われる。なお。ここでいう「新しい(ニュー)保守主義」が「新保守主義」で、「新(ネオ)保守主義」とあるのが「ネオコン」。ややこしい。


※ さらにややこしいことに「ネオ・リベラリズムとも呼ばれる」とあって訳せば「新自由主義」だが、福祉国家に好意的と書いてあるので、我々の知っている「新自由主義」のイメージとは異なる。一般にいう「新自由主義」は「自由至上主義者たち(libertarians)」と書かれているものだと思われ、これと「ネオ・リベラリズム」の関係がどうなっているのか不明。この本の原著が出たのが1986年であり、あるいは人によって定義が異なっている可能性もあり、その点は留意しなければならない。


※ なおまた「宗教的右派」というのはいわゆるキリスト教原理主義のことではないと思われ、これについては「福音主義者」と書かれているのがそれに該当すると思われ。


日本のことでも十分にわからないのに、ましてやアメリカの政治思想および、そこで使われる言葉の定義がどんなものなのかというのは理解するのが非常に困難だ。


(つづく)