黒塗りメイクがタブーとされたのはいつからなのか?

人種差別と批判された「ももクロ」の「黒塗りメイク」 米国の学生はどう反応したか?|弁護士ドットコムニュース

そもそも黒塗りメイクは、19世紀から20世紀頭の米国で、黒人に扮した白人によって踊りや音楽、寸劇などを交えて演じられていた「ミンストレル・ショー」に起源がある。黒人をステレオタイプで捉え、嘲笑する人種差別的な内容であったことから、近年では、ミンストレル・ショーや黒塗りメイクは米国をはじめとする欧米諸国でタブーとされている。

ここに「近年では」と書いてある。それはいつなのか?

ミンストレル・ショーは、そのステレオタイプ的でしばしば見くびったやり方で黒人を風刺した。ミンストレル・ショーは1830年代に簡単な幕間の茶番劇(Entr'acte)として始まり、次の10年には完全な形を成した。19世紀の終わりまでには人気に陰りが出て、ヴォードヴィル・ショーに取って替わられた。職業的なエンターテインメントとしては1910年頃まで生き残り、アマチュアのものとしては地方の高校や仲間内や劇場などで1950年代まで存続した。

ミンストレル・ショー - Wikipedia
ミンストレル・ショーはウィキペディアによれば1950年代まで存続していたという。


ミンストレル・ショーではないのかもしれないけど、アル・ジョルソンという俳優が黒塗りメイクで映画に出演している。
アル・ジョルソン - Wikipedia


『ジョルスン物語』は1946年の映画でアカデミー賞を受賞している。
ジョルスン物語 - Wikipedia
なお、俺は80年代前半に「スクリーン」などの映画雑誌を愛読してたんだけど、そこで名画100選みたいな企画で著名な映画評論家が取り上げていたのを何回か見た覚えがある)なお俺はこの映画未見)。


ところでカルチャー・クラブの「君は完璧さ(Do You Really Want To Hurt Me?)」はMTV黎明期の1982年のヒット曲でミュージックビデオがテレビで頻繁に流れていた。

カルチャー・クラブはイギリスのバンドだけれども、この曲はアメリカでもビルボードHot100で最高2位までいった。このビデオに出てくる黒塗りの人物(多分黒人。黒人のミンストレル・ショーもあった)について海外でどう評価されたのかは知らないけれど、今でも公式で見ることができる。


※ あとTacoの「Puttin' on the Ritz」(1983)。


黒塗りメイクが差別だという考えは1950年代以降、現在までに徐々に発達してきた考えなのではなかろうか。


そして特に近年その傾向が強くなってきているのではないかと思うのは、ケイティ・ペリーが一昨年に着物姿で歌ったのが人種差別だと批判されたり(彼女は親日家なのに)、去年はアヴリル・ラヴィーンのミュージックビデオで後ろで踊る日本人がロボットみたいだとかその他の理由でこれまた人種差別と批判されたり(当の日本人のクレームがあったわけでもないのに)と、またアリソン・ゴールドのChinese Foodという曲もステレオタイプと米国内での評判はさんざんだった(中国人の反応はそれほどでもないようだが)。
いま海外で中華料理の歌が人気らしい 中国人「ツッコミどころ満載」中国人の反応 - 中華看看(旧)


80年代には「ドモアリガト、ミスターロボット」なんて日本人を小ばかにしたような歌がヒットしてた(ただし日本でもヒットした)けれど、今では許されないということだろう。ある人種・民族をステレオタイプに表現しようとしたとみなされると炎上するということが、この数年頻繁に見られるようになったと感じるのである。


※ しかしちょっと調べた限りでは「ミスターロボット」は差別とはみなされてないようだ。差別と差別ではないの境目がどこにあるのかは、外からではわからないところがある。アメリカに住んでれば自然にわかるのかもしれないが、日本でそれをわかれといわれても難しいだろう。でもダメだといわれたものはやらない方が無難であって、強いてやることではないと思う。