⇒曽野綾子さん「移民を受け入れ、人種で分けて居住させるべき」産経新聞で主張
もう20〜30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった。
(産経新聞 2015/02/11付 7面)
と住居の隔離とも取られかねない主張を展開している。
さらに、南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃後、白人専用だったマンションに黒人家族が一族を呼び寄せたため、水が足りなくなり共同生活が破綻し、白人が逃げ出したという例を出し、「人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方がいい」と締めくくっている。
結論からいえば、このコラムに大いに問題があることは間違いない。
ただしネットでの批判を見ると、何を批判しているかはかなりバラバラだったりする。
俺が大問題だと思うのは、何といっても南アフリカの例を出したことである。
アパルトヘイト政策は人種差別が許されない現代社会において絶対悪である。したがって撤廃された後にそこから問題が生じたとしてもアパルトヘイト政策という絶対悪の前では小さな問題とならざるをえない。
そもそも白人専用のマンションというものが存在したのが問題なのであって、最初からそんなものが無かったのなら、あるいは早期に無くなっていたのなら、白人にとってそれが不都合なものだったとしてもその状態がデフォルトなのだから受け入れざるを得ないのである。そしてそこから試行錯誤によってある程度の快適さを獲得することも可能だったかもしれないのだ。それを白人専用マンションが存在するのがデフォルトであるかのように論じているのが大問題なのである。
なお、これを移民問題の話の中で取り上げているわけだが、南アフリカの先住民はもちろん黒人である。黒人の全てが南アフリカの先住民というわけではないだろうが白人は全て後からやってきたのである。